2010年FIFAワールドカップ南アフリカ大会はいよいよ明日、11日の夜に開幕戦を迎えます。
Football Japan Minutecastにて、W杯期間中は日本戦のプレビュー・レポートをはじめ、決勝トーナメントからは現地ヨハネスブルグから特別番組なども、週数回配信する予定ですので、お楽しみにして下さい。
しかし、その前に、W杯に向けてFootball Japanメンバーの予想はどうでしょうか?私はシックスの本多克己社長と、日本の現役最年長のスポーツライター・賀川浩氏と、ライター兼賀川氏のアシスタント・根本いづみ氏と4人でお話しました。
(「上:日本代表」はこちら)
⑤ さて、話題を日本代表から全体に変わりましょう。2010年のW杯はどこが優勝すると思いますか?
賀川: スペインは評判が良いようですが、スペインが今までW杯で良いのを見たことがないですからね!今のスペインは確かに力ありますから、前も揃っているし、後ろもジェラール・ピケも皆も良くてしっかりしているから、決して優勝しても不思議ではない。それにスペインみたいなチームに対して一番嫌な感じで抵抗できる、イタリアはここのところちょっと落ちているから、この際勝って欲しいです。ブラジルもやはりスペインと並んで優勝候補に挙げるのは当然でしょう。イングランドも一遍勝って、決勝までは出て欲しいと思いますけど!
本多: イングランド。出場した英語圏での開催ではすべて優勝しているからです。
根本: スペイン。堅固なディフェンスに、充実の中盤、そして強力な2トップ。死角がないですね。
メイブリー: イングランド!いや、冗談です。イングランドと日本が無理だったら、やはり美しいサッカーを見せてくれるスペインに優勝して欲しいですが、グループリーグを突破した後は難しい相手ばかりです。もう少し実際的なアプローチをする、ドゥンガ監督がブラジルに優勝をもたらすのではないかと思います。
⑥ 他に注目したいチームはどこですか?
賀川: ポルトガルがね、前は何と言ってもクリスチアーノ・ロナウドですし、マンチェスター・ユナイテッドのナニも良い選手ですから、彼らがどれぐらい働くかで、まるで違ってきます。ポルトガルは前のルイス・フィーゴの時代でも、いつも世界からいじめられているような感じでやって、すぐ拗ねちゃうから、それさえなければ、サッカーとしては一人ひとりの芯が強いプレーが出てくると、面白いんだろうと思います。
本多: 韓国は隣国として応援したいです。そして、スペイン、欧州王者があの美しいサッカーでどこまでいけるかですね。後は、アメリカも良いグループに入ったし、昨年のコンフェデレーションズカップでも結果を残したので、かなり良い線いきそうです。
根本: デンマーク、それからやっぱりブラジルは気になりますね。デンマークは、全体的に顔が好みなんです。平均点の高さというのか、イチオシはスウェーデンなのですが、残念ながら今回は出てこないので……次点のデンマークに期待しています。
メイブリー: アルゼンチンと例のディエゴ・マラドーナ監督。6月の終わりぐらいにブチっとキレて、カルロス・ビラルドの戦術アドバイスを無視して、準々決勝にフォワードを(マルティン・パレルモまで含めて)6人とも同時に起用することを期待しています。後は、オランダ、デンマーク、それから北朝鮮。欧州人として、日本や韓国の人々は「千里馬」の活躍をどんな目で見るかが注目です。
⑦ 得点王は?
賀川: イングランドが上がってくるためには、やっぱりルーニーがやらなあかんでしょう。クリスチアーノ・ロナウドも暴れてくれれば、ポルトガルは面白いです。それから、上まで来なくても、ディディエ・ドログバ。どこかを相手に1試合で4点取ったら一気に得点王になることもありますからね。
本多: ウェイン・ルーニー、またはロビン・ファンペルシー。
根本: ダビド・ビジャ、またはルイス・ファビアーノ。
メイブリー: ビジャがグループリーグでかなり点を取れると思いますし、それだけでも十分かもしれません。
⑧ 他に注目したい選手もいますか?
賀川: サッカーとしては、世界中の評論家は皆スペインに行くでしょうけれども、アフリカンパワーの個人的な強さがどこかで発揮できるチームが出てくれば面白いです。そういう意味でやっぱりドログバですね。サミュエル・エトオはちょっとまとまり過ぎていると思います。後は、韓国は日本とやるときぐらいはいつも一生懸命になるんですけど、どことやってもあのつもりでやってくれれば良いのにですね。
本多: 本田圭佑、大久保嘉人、森本貴幸。日本が躍進できるとすれば、この3人の活躍しかありません。大久保は挑発に乗ってカードをもらわないこと!
根本: 森本、楢崎正剛、川島永嗣。日本の躍進には、彼らの活躍が絶対必要だと思います。後は、ファン・セバスチャン・ベロン。今大会で最もセクシーなフットボーラーです。個人的に、ですが(笑)。
メイブリー: 本田は日本のキーマンとして、ここ2年の急成長をW杯の舞台でも続けられるようにチャンスと自由を十分与えて欲しいです。また、北朝鮮に戻りますが、やはり鄭大世。「死の組」にもかかわらず、本人はJリーグで見せる得点力をW杯でも発揮し、1試合ごとに必ず1ゴールを決めると言っているそうです。
⑨ どのチーム、或いは選手が期待外れに終わるでしょうか?
賀川: まず、南アフリカは皆、地元のチームを押し上げるから、期待外れにはならないと思います。しかし、記者はリオネル・メッシがいるからアルゼンチンを高く買いたいわけで、僕もアルゼンチンのサッカーが好きですけれども、バルセロナは良いチーム過ぎるから、メッシのボールを受ける感覚が非常に贅沢になりますよね。アルゼンチンの周りは、ちょっと荒削りの仲間とやるときに、どんな具合になるかなと思います。もちろん、世界一の選手ですから、上に上がってきたら面白いと思いますけど、監督さんはあのマラドーナ監督さんですよね。大天才が監督で、大天才がチームの中心というのは、非常に難しいところがありますが、色んな意味で面白いですね。
本多: クリスチアーノ・ロナウド。
メイブリー: 賀川さんの仰る通り、メッシやロナウド、ルーニーといった選手はいずれもあまりに素晴らしいクラブでプレーしていますが、それぞれの代表チームでは多少苦労してもおかしくないですね。チームとしては、開催地の南アフリカは何とかなると思いますが、同じグループAのフランスには何も期待できません。
⑩ 最後に、2010年の南アフリカ大会に向けて、一番お楽しみにしていることを教えて下さい。
賀川: サッカーそのものは、どんどん進歩したり、個人的にも運動量も増えて、ものすごく忙しいサッカーになりました。それで面白くないという人も多いけれども、このような中から今のバルセロナみたいなチームという一つの形ができました。それに習うように、それぞれの個性を持った選手のある国々がやはり、運動量を増やして、従来よりもサッカーをもっと面白くしようという感じで上がってきたというのは確かです。
そういう意味ではね、アフリカというのは、今の学説では人類の発祥の地、そしていわゆる二足歩行を始めた土地ですね。それで二足歩行じゃないとできないサッカーなんですよね。そのサッカーが初めて、アフリカという土地でやるというところに、僕はサッカーの歴史の上でものすごく大きい時期が来ていると思います。それでやっぱり、サッカーがもう一段上になってきたというのは、次どんなふうにこの大会で見せるか、国別という形でどれだけ新しい組織プレーを表せるか。従来よりも一歩進んだもんになって欲しいなと思います。その中に、発祥の地であったアフリカ人に割り込んできて欲しいです。
本多: 上記の本田、大久保、森本の活躍。
根本: まずは、大会の成功です。それからマラドーナ監督の言動と、ブラジル・スタンドの美女も楽しみ…(笑)
メイブリー: 個人的には、今年はライターとして2度目のW杯ですが、現地で取材するのは初めてです。賀川さんのように、いつもとは違う国や地域でW杯などを開催する(もちろん、再来年のユーロもポーランドとウクライナ、2014年W杯もブラジルで行われる)のはすごく価値のあることだと思います。ですから、南アフリカ風にサッカーの大祭りを体験するのを本当に楽しみにしています。いつも治安など、アフリカのことを悪く言う人がようやく黙ってくれるように、大会の成功を祈っています。
(「上:日本代表」はこちら)