24日、日本代表はW杯前の国内最後の強化試合となった韓国戦で圧倒されてから数時間後、イングランド代表はホームのウェンブリー・スタジアムで苦戦しながらもメキシコ代表を3対1で破った。今週、南アフリカの本大会に向けて、日本・イングランド両国の代表チームはオーストリアに移り、30日にグラーツ市で史上3度目の直接対決を迎える。
W杯まで強化試合が後2つしか残されていない中、日本代表の調子はどうなのか?
今週の韓国戦は先月のセルビア戦ほどではなかったものの、それでもかなりの惨敗だった。玉田圭司の代わりにワントップでチャンスを得た岡崎慎司や、フリーロールでプレーした(或いはボールがあまりにも来ない中、あちこち走り回るしかなかった)本田圭佑が少し可哀想に思えた。特に本田は、後ろ向きになった場面が多過ぎたという批評も試合後のテレビニュースであったが、この点は症状の1つに過ぎず、本質的な問題ではない。実はなかなかないことながら、この試合では日本の攻撃的選手が4人とも同時に孤立した存在になってしまっていた。なぜなら、運動量の多い相手に対して、守備的ではない遠藤保仁と長谷部誠のダブルボランチが絶え間ないプレスに耐えられなかったからである。
しかし、一部のマスコミは相変わらず反対するかもしれないが、次の相手はW杯優勝候補とも言われるイングランドということから、この強化試合は守備専任のシングルボランチを起用してみるチャンスである。大久保嘉人の代わりに、稲本潤一(または阿部勇樹)を投入するメリットは既に、このコラムで議論している。攻撃的選手が1人少なくなることを嘆く声もあるだろうが、ミッドフィルダー3人へとシステムを変更することで、ボールはより支配しやすくなり、むしろ攻撃を展開する力にも繋がると考えられる。岡田監督はこれまでと違う戦術を試す勇気があるかどうかはもちろん、別の問題である。
イングランドは?
日本とは逆に、イングランドのファビオ・カペッロ監督はスタメンにはほぼ満足している一方、W杯グループC初戦のアメリカ戦まで最後となるこの国際親善試合を通じて、本大会メンバー23人の残り数枠はまだ決めなければならない。よって、メキシコ戦からスタメン変更が数人出ると考えて良いだろう。FAカップ決勝戦の影響で温存されていたチェルシー勢は恐らく戻ってくるだろうし、ダレン・ベントやマイケル・ドーソン、スティーブン・ワーノックなどにも活躍を見せる機会が巡ってくるかもしれない。
W杯スタメンについては、未解決の問題が1つある。つまり、ボランチのギャレス・バリーは右足首(じん帯損傷)が早く回復しなかった場合、一体誰がその代役を務めるのか、ということである。メキシコ戦でオーディションを落ちたマイケル・キャリックに続き、今回はウェスト・ハム・ユナイテッドのスコット・パーカーが舞台に上がると思われるが、敢えて言えば、カペッロ時代まで数年に亘って期待に応えられなかった、スティーブン・ジェラードとフランク・ランパードのコンビが久々に復活する可能性もある。
イングランド戦に向かって、岡田ジャパンはどのようにアプローチすれば良いのか?
日本にとってはまず、勝利に拘る必要はないだろう。イングランドと引き分ければ素晴らしい結果になるし、せめてゴールを決めることができれば、1対2以上の1点差負けでも前向きに次へと繋げていけるのである。
ファビオ・カペッロは世界トップレベルの監督ということは言うまでもないが、イングランド代表でのシステムと中盤の形はそれほど複雑ではない。今回はバリー選手の怪我もあり、予選で見せたバランスを保ちながら代役を模索している中、もし日本が中盤に人数をかければ、とにかく韓国戦よりは自らのペースで試合を展開できるようになるはずである。イングランドのディフェンスラインには元キャプテンのジョン・テリーが復帰するが、今季は様々な問題を抱えている中でパフォーマンスがいまいちだったので、彼がスピードに弱いことも利用すれば良い。また、日本の攻撃的選手が一体となって機能すれば、相手のサイドバックにプレッシャーをかけることもできるかもしれない。
一方、イングランドは日本の自信をさらに喪失させたいとすれば?
イングランドは間違いなく勝つ自信を持ち、勝つつもりで試合に臨むし、岡田監督の現在の4-2-3-1システムでは、厳しいプレスやフィジカルなサッカーで日本を苦しめられることも十分確認しているだろう。また、エミール・ヘスキーの体の大きさやジャーメイン・デフォーの足の速さで中澤佑二の弱点を突いてくることも考えられる。韓国戦では、田中マルクス闘莉王の欠場も確かに大きかっただろうが、中沢が朴智星(パク・チソン)に見事な先制点を決めるスペースを許してしまい、スピードも少し心配である。最後に、本登録締め切りのわずか2日前にキックオフするこの日本×イングランド戦では、カペッロ監督がどこまでメンバー(特に中盤)を変更するかも結果を大きく左右するだろう。
予想結果は…?
日本側には申し訳ないが、イングランドが2対0で勝利。また、ゴールが早い時間に決まり、ピッチにいる選手にW杯メンバー入りに挑むモチベーションがあれば、より圧倒的な点差で快勝してしまうかもしれない。