« 出直そうよ、ヤマザキナビスコカップ | トップページ | 【キックオフまで後50日】 ミッドフィールド、フォワード、そして鍵を握るエース(上:守備編) »

【キックオフまで後56日】 バック・トゥ・3バック?

2010/04/16(金)

先週、セルビアの2軍に敗した日本代表チームの姿を長居のメインスタンドから観ながら、「読みやすい」という言葉が何回も頭に浮かんだ。

 

もちろん、日本も完全にフルメンバーとは言えなかったし、JリーグやACLではW杯中断に向けて過密スケジュールが続く中、ピッチに出た選手も多少疲れていても当然かもしれない。しかし、ドラガン・ムルジャが日本の静止した守備ラインを崩して先制点を決めた15分からは、経験の浅いセルビアの若手選手でも岡田ジャパンのスタイルや戦術を読み切っていたことが明らかだった。日本はボールを支配しながらも、シュートの機会を作れずにいつまでもパスを回しているだけでは相手はとにかく心配ご無用だろう。一方でディフェンスの脆弱さももろに露呈され、どちらかと言えばムルジャやデヤン・レキッチがさらに追加点を奪ってもおかしくなかった。

 

このセルビア戦を踏まえて、新聞やサポーターの掲示板は岡田監督自身の混乱を具体化しようと、チームをどう改革していくのかという議論でずっと盛り上がっている。しかし、その中で3バックを導入すべきというのはむしろ恐るべき提案である。32歳の主将、中澤佑二のスピードは確かにますます心配になるが、岡田監督はW杯の直前にシステムをそこまで抜本的に変えるとは考えにくい。1週間、見出しと話題になっている話であるが、シックス本多社長は試合後に監督のコメントを直接聞き、新聞が勝手にセンセーショナルに書き立てただけと解釈したそうである。

 

その通りだと良い。ブラジルが8年前に横浜で5回目のW杯優勝を果たして以来、3バックを採用したチームが世界のトップレベルで注目すべき成果を挙げた例がない。ブラジルの場合でも、いわゆるセンターバックのエジミウソン相手ゴール前に出没することが多く、少し例外的なように思われる。ヨーロッパでは、3-5-2のシステムが1990年代に暫く流行り、マティアス・ザマーをスイーパーとしてドイツ代表1996年)もボルシア・ドルトムン1997年)も欧州制覇を達成した。しかし、(元ドルトムンドのオットマー・ヒッツフェルト監督の基)2001UEFAチャンピオンズリーグで優勝したバイエルン・ミュンヘンを最後に、そのブームはとっくに過ぎ去り、今や3バックはビッグクラブからほぼ姿を消している。

 

これには理由がある。ジョナサン・ウィルソン氏の素晴らしい説明を借りれば、3-5-2の基本的なメリットは「人数で中盤を支配できること」と、「守備は1人余るため、うまくカバーできること」である。しかし、この説は相手がクラシックな4-4-2を採用するという大前提に立っている。実際には、多くの代表チームやビッグクラブはここ数年、ストライカーと言えるフォワードが1人しかいない4-3-34-5-1と一般に呼ばれるシステムに変更する傾向が強い。厳密に言えばパターンが様々あり、時にはストライカーを1人も置かないケースもあるが、いずれにせよ、これにより3-5-2では3人目のセンターバックが過剰な存在となってしまい、中盤の数的優位も失われる。また、柏レイソルネルシーニョ監督が分析するように、もし3-5-2の相手に対して攻撃的サイドバックを巧みに駆使すれば、攻撃の幅も中盤を支配する人数も有利となり、3バックの弱点を徹底的に突くことができる。

 

Jリーグでは依然として、他にアイデアのないときに3-5-2に切り替えがちなコーチもいるかもしれないが、3バックが2010年にも成功に繋がる場合があるとしても、W杯の舞台ではとにかく厳しいと言えよう。エジプト代表3-5-2代表的な成功例として、今年のアフリカネイションズカップでかつてない3連覇を果たしたが、多くの相手チームがまだフラットな4-4-2から進化できていないということが大きかっただろう。一方でアフリカの中、エジプトの戦術に適応して最も厳しい相手とされているのは日本のW杯初戦の相手、カメルーンである。また、同じグループEで対戦する、オランダデンマークもそれなりのスタイルで4-3-3を基本フォーメーションとするため、岡田監督が本当に3バック導入を考えているなら、各相手に大歓迎されるだろう。

 

(続く)

固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/222697/48099609

この記事へのトラックバック一覧です: 【キックオフまで後56日】 バック・トゥ・3バック?:

コメント

コメントを書く