(守備編から続く)
もちろん、日本代表の攻撃力は決してバルセロナやマンチェスター・ユナイテッドほどとは言えない。決定的なチャンスをなかなか作れずにパスを回しているだけという問題は、毎試合のように痛感する。ワントップとして、玉田圭司はポゼッションにも加わったり運動量が多い点は評価したいが、得点が少ないため、攻撃のはけ口を提供しないことは、日本の問題の一つと言える。
日本人で一番得点力があるのは岡崎慎司だろうが、代表戦では左サイドで起用されることが多い。クラブの清水エスパルスでも同じようなポジションと言えども、Jリーグよりレベルの高い代表チームを相手に少し孤立した存在になってしまい、日本にとってもったいない感じがする。従って、岡崎を信頼し、ワントップとして責任を任せれば良い。完全なツートップという選択肢もある(個人的には反対でもないし、岡崎のパートナーとして森本貴幸にチャンスを与えれば面白いかもしれないと思う)が、やはりワントップのシステムのほうが、日本の強みである攻撃的中盤をより自由に形成できるメリットがある。
賀川浩氏の言葉を借りれば、遠藤保仁とともに中村俊輔も揃って出場することでチームの柱はできるというが、試合がうまくいかないときは、チームメイトが「俊輔に任せたら何とかなるだろう」と少し絶望的になることがある。このように中村に依存し過ぎてしまうと、本人にもプレッシャーがかかり、相手にとっても読みやすい。しかし、中村ともう1人で攻撃的中盤コンビを組めば、流動的にポジションを交換することで、チーム全体のポテンシャルをうまく発揮できるだろう。例えば、この2人は同じ90分の中でも、サイドバックが攻撃に参加できるようにダブルトップ下へ、そして遠藤や長谷部誠が前に飛び込めるように両サイドへ、或いは対称性を破り、1人がサイド攻撃を展開すればもう1人がフォワード役となることなどが考えられる。ここでいう中村のパートナーに候補がたくさんいるだろうが、今の日本代表に必要なものは、遠藤や中村も効率的に機能させる、何らかのプラスアルファを加える選手である。
本田圭佑がその男である。本田はオランダ2部の頃から自信を持った、多才なミッドフィールダーへと急成長を遂げているが、特に今年CSKAモスクワに移籍して以来は様々なポジションで起用され、フリーキックも自分のものにしている。このチャンスをしっかりと掴み、UEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメントの舞台でもすぐに活躍を見せることができた。今や間違いなく、彼ほどトップレベルの相手を怯えさせる日本人選手はいない。
代表戦では1年で4ゴールも決め、W杯メンバー23人についてもう「ボーダーラインの選手ではない」という立場に到達している。しかし、本田は南アフリカではメンバーだけではなく、岡田監督のスタメンで思い切って起用すべきである。守備から攻撃まで問題が山積しており、現状に甘んじるわけにはいかないのであるが、本田が急成長を遂げている今、これまでのように我慢する必要ももうないだろう。
結論: メイブリーの理想的な布陣(4-3-3、厳密に言えば4-1-2-2-1)
楢崎
内田 中沢 闘莉王 長友
稲本
長谷部 遠藤
中村俊 本田
岡崎
(試合の展開により、長谷部→森本を投入することでツートップに変えることも可。その場合は本田がトップ下、中村俊は長谷部のポジションに入る。)
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