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キックオフまで後71日

2010/04/01(木)

このコラムでは昨年の夏、南アフリカの現況をテーマにイギリスの研究者マーク・フレッチャー氏インタビューを行ったが、課題の一つとして現地と先進国の考え方の葛藤が何回か提起された。現在は、南アフリカ対メキシコの開幕戦まで後71日のところ、ワールドカップのチケットは完売しないという報道が世界中を駆け巡っており、この葛藤がさらに浮き彫りになった。ディリー・ミラー紙や様々なオンラインメディアによると、これまでチケット販売枚数約295万枚のうち、約65万枚がまだ売れ残っているという。

 

現地では、W杯の組織委員会は南アフリカ人により多くのチケットを割り当てず、先進国の観戦者や観光収入を優先した点で批判されている中、この未販売分のうち、半分以上(約33万枚)が参加国協会分の57万枚から返却されたことが特に気になる。航空会社や旅行会社ももちろんW杯商戦を利用して大儲けを企んでいたが、逆に少ない便数や法外な航空運賃もこのチケット販売不振の原因の一つとされている。南アフリカの国内便運航各社がW杯期間中の運賃を共謀で引き上げた疑いもあり、同国の公正取引委員会が現在捜査を進めている。今更であるが、これまで売れていないチケットを現地で安くリセールするのがやはり最も賢明な結論のように思われる。いずれにせよ、開催地と世界のサッカーファンがW杯という楽しみに集中できるように、このような問題をいち早く解決して欲しい。

 

一方で、いわゆるグローバル化が進む時代においても、それぞれの国の習慣やその対立が国際旅行の些細なところにも現れる。先日、各旅行会社のホームページでヨハネスブルグ行きの航空券を検索すると、往復で7万円前後という驚くほど格安な結果も出たが、そこで残念ながら、日本では第3画面ぐらいまで進めてみなければ実際に空席があるかどうかは分からないことに気付いた。本当の選択画面は結局、赤文字で「満席」という表示だらけだった。「購入」ボタンがちゃんと表示されても、最初に見たサイトでは値段が何と32万円、他のサイトでも安くとも約25万円にも上り、私にとって遥かに予算オーバーだった。やはり、この「少ない便数や法外な航空運賃」という噂はどうやら本当のようだった。

 

やがて、イギリスのオンライン旅行会社でより現実的な価格を引き出した。ポンドはここ1年半で急落しており、当日の為替レートではリーマン程度(約138円)に過ぎなかったため、日本のクレジットカードで支払えばお得になるはずだった。しかし、それでもそう簡単ではなかった。今回のサイトの支払画面には、住所を正確に記すようにと注意が書いてあったが、私の大阪での住所はローマ字で書けば5行になるのに対して、このページの記入欄には3行しかなかった。しかも、各行に文字制限もあり、纏めて記入することもできず、漢字やカタカナで入力しても文字化けしてしまった。何回か失敗した後、来日して全く使っていないイギリスのデビットカードを見つけ出したが、まずは昨年から導入された新しいカード認定制度に登録する必要があり、イギリス国外からはインターネット登録ができないようである。これでお仕舞いだった。嫌気が差し、直接旅行会社に電話を掛けた。やはり最新技術が幾ら便利とは言え、20世紀のほうが「簡単」だったのかもしれないね。

 

何はともあれ、長い言い回しだったが、南アフリカからワールドカップの熱狂振りをお伝えすることになった。7月の上旬、特集や特別ポッドキャスト番組を配信するので、お楽しみにして下さい。

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コメント

突然のコメント、ご迷惑だったら申し訳ございません。
私のサイトと相互リンクしていただけましたらと思い、コメントさせていただきました。
http://art.link-z.net/rand/link/register
自動登録型になっているのですが、相互リンクしていただけましたら幸いです。よろしくお願いします。
i8H

投稿: 相互リンクのお願い | 2010年4月 1日 (木) 20時13分

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