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2010年3月

4年ぶりの大阪ダービーについて、楽しい記事を書きたかったのに…

2010/03/18(木)

「うわっ!外人だ!」

 

6日のJリーグ開幕戦で、一人のサポーターを驚かせてしまった。私の顔と体の見た目はそんなに恐くない(と私は思っている)が、この40歳前後のおばさんはとにかく、アングロサクソンの顔立ちと白い肌に慣れていなかったようである。外国人として、このような気まずいハプニングはいわゆるグローバル化が進む中で、ちょっと時代遅れのように感じるが、一方で日本は依然として人種的に極めて同質な社会なので、このおばさんの反応が理解できないこともない。分からないもの、知らないものを恐れることはやはり、生身の人間らしい。

 

その数日後、2006年9月以来の大阪ダービーが近づいていたところ、ガンバ大阪のフロントもその人間性を見せた。しかし、今回は残念ながら何が分からなかったか、何が怖かったかと言えば、単純な皮肉および、ガンバが本業とするサッカーの文化と社会学ということだった。下記は、3月9日にガンバ大阪のオフィシャルホームページに掲載された、ニュースリリースからの抜粋である。

 

 

【警告】誹謗中傷するバナー掲出、応援チャントについて

36日(土)名古屋グランパス戦@万博において、キックオフ前の時間帯に、Aホーム席中央付近に相手チームを誹謗中傷するバナーが掲出されました。また特定のチームを誹謗中傷する応援コールが今季の試合、ガンバ応援席にて行われました。

(中略)

 

ガンバ大阪を応援するエリアにて、ガンバ大阪の判断に反する行為を行った人物・団体に関しては即座に退場、永久入場禁止とする厳しい処分にて対応することをお知らせ致します。

 

反する行為とは誹謗中傷、侮辱、幼稚な言い回し、屈辱的な言葉を使った応援チャントを実行、横断幕の掲出が主なものと考えられますが、行為の対象はこれに限りません。クラブが反する行為と判断したものすべてが対象です。

 

4年ぶりの「大阪ダービー」を目前に控え、サポーターの皆さんの盛り上がりを強く感じます。しかし相手クラブや選手を侮辱する等の行為は決して、ガンバ大阪、そして選手の為とは感じませんし、「大阪ダービー」の価値を高めるものでもありません。

 

実際、これまでの歴史の中でガンバ大阪応援エリアで起こった情けない行為、目を覆いたくなるような横断幕の文字には、選手・スタッフ、そして他のガンバファン&サポーターの皆さんは、同じガンバ大阪に関わるものとして恥ずかしいという想いしか残っておりません。

 

 

ここでいう、目を覆いたくなるような横断幕の的は、ガンバのライバルである浦和レッズで昨年まで6年間プレーした、田中マルクス闘莉王だった。「トゥーリオ・リコール」という文字と、単語の間にトヨタ自動車のロゴマークが描かれたそのメッセージは、闘莉王が「レッズが自分を必要としていない」とやむを得ずチームを退団し、名古屋グランパスに移籍したことをからかうジョークだった。グランパスのメインスポンサーはもちろん、アクセルペダルなどに不具合がある数百万台の車をリコールしている、トヨタ自動車である。確かに、このバナーで闘莉王を温かく歓迎する気持ちはあまりなかっただろうが、特にユーモアが名物の大阪には、この皮肉たっぷりの冗談が分からない人がいたならば、それこそがおかしい。

 

また、この特定の相手に対する応援コールは何かと言えば、ここ10年間、あらゆる大阪ダービーで反対の声もなく歌われてきた、セレッソ大阪を笑い物にする歌である。その歌詞は下記の通りである。

 

ラララ…

ピンク色の豚野郎が睨んでる

言わしてまえ!

セレッソメルダ!

 

これももちろん、ものすごくフレンドリーなコールとは言えないだろうが、世界中のどこのサッカースタジアムでも、これと同じように相手や地元ライバルをからかう応援歌が頻繁に聞かれる。サッカーファンの応援コールが本当に名誉棄損に値する内容や、実際に乱暴騒ぎを起こそうとする歌詞を含む場合は別の話であるが、「セレッソメルダ」にはそのようなニュアンスがない。比較として、マンチェスター・ユナイテッドのサポーターはガイ・フォークス・ナイトの前後に「かがり火を焚き、リバプールシティを焼き捨てよう」と歌えば、警察や消防隊を呼ぶ人は誰もいない。

 

保守的な日本人は「日本では通じない」文化の違いを指摘するかもしれないが、日本はグローバルなスポーツであるサッカーとその文化を輸入している中、ダービーのからかい合う習慣も徐々にJリーグにも浸透するのは当然である。2003年に来日した頃、ガンバサポーターで無数のヨーロッパ人や中南米人、アフリカ人と同様に熱狂的な人もいて、その「日本人らしくない」姿を見た私も最初はびっくりした。しかし、フロントは認めないだろうが、この応援団の情熱とユーモアが私のような外国人に限らず、ほかの日本人にもアピールして次の試合もチケットを買うきっかけとなることが少なくない。

 

今回のニュースリリースに関しては、一番許しがたいのはそのタイミングである。フロントのサッカーに対する理解度はともかくとして、スタンドの雰囲気を醸し出す応援団の反対と、その反対がわずか5日で衰えないことくらいは予想できていただろう。結果的に、サポーターの盛り上がりがまた別のテンションへと変わり、試合の流れがうまくいかなかったときは明らかにイライラとした雰囲気になってしまった。この特別なはずだったセレッソ戦はガンバにとって期待外れの引き分けで終了し、選手たちは大ブーイングを浴びた。ガンバファンの抗議や不満はこれからも続くだろう。つまり、ホームページの「警告」はゴール裏のどの応援歌や横断幕よりも、遥かに挑発的な言葉だった。

 

これまで、Jリーグの最も大きな成功の一つは、各クラブがそれぞれのコミュニティに根付き、地元社会に貢献する必要性を認めたことである。鹿島アントラーズや浦和レッズはこの代表的な例をして、タイトルを重ねながらピッチ外でも力を入れ、それぞれのホームタウンを中心に圧倒的な人気を集めてきた。にもかかわらず、一方でJリーグ発足時の企業チームからそれほど進化していないケースも存在する。もしサポーターによる暴力行為などがあった場合には、厳しい処分は当然なことである。しかし、ガンバのフロントは典型的なサラリーマンの考え方から離れず、親会社の社歌意外の歌を聞けばすぐパニックする限りは、クラブの成長は有り得ない。

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予測不可能? ②ACL圏内・残留争い & 2009年の予測を振り返って

2010/03/09(火)

前回紹介優勝候補に加え、清水エスパルスも昨年の連敗まで優勝そうもあったし、今年はドイツのボーフムから元日本代表MF小野伸二も新加入し、ACL出場権獲得が最低目標だろう。引き続き、FC東京注目の平山相太や新加入FWのリカルジーニョが絶好のコンディションと得点力を見せることができれば、本格的に優勝争いに加わることも十分考えられる。

 

しかし、サンフレッチェ広島は昨年J1に復帰して4位で終了し、サポーターの度肝を抜くような好成績を残したが、今年はやはりACLの挑戦や日程と、柏木陽介浦和レッズ移籍の関係もあり、クラブ側でもそれほど高い目標を設定していないようである。また、柏木の入団にもかかわらず、浦和もまだまだ解決すべき課題が多く残されているだろう。

 

J2から昇格したベガルタ仙台セレッソ大阪は昨シーズン、いずれも見事なパフォーマンスを見せながら3桁の勝ち点を積み上げた。今年は新しい選手が早くチームに馴染み、結果を残す限り、1年目で降格してしまうことはないと思う(セレッソは特に大分トリニータの選手流出をうまく利用したが、キーマンの香川真司がW杯後に海外移籍する可能性を考え、前半戦から良いリズムを作りたいだろう)。しかし、湘南ベルマーレは勝ち点差1でJ2・3位を決めてからメンバーをろくに強化できておらず、残留が厳しいと言わざるを得ない。

 

モンテディオ山形は昨年からJ1に昇格してものすごく良いスタートを切れた一方、5月から急失速してしまい、最終的に残留争いのライバルに勝利を収めたおかげで何とか降格を回避した。今年は「年目症候群」という降格リスクが高いと言って良いだろう。16位(或いは、最後の降格チーム)が最も決めにくいことであり、私は結局京都サンガを選ぶことにしたが、同じ関西地方のィッセル神戸開幕戦京都ったにもかかわらず、年間の見込みが良好とは言えない。週刊サッカーダイジェスト調査では大宮アルディージャがJ2に落ちるという意見が多かったが、元大分DF深谷友基をはじめ新加入選手の貢献も期待できるし、批判するライターの意表を突くのもとにかく、大宮にとって毎年のことだろう。

 

 

最後に、このコラムが公正で透明なものであるべく、昨年見込はどのぐらい当たったかを見てみよう。2009年のJ1最終順位と私の予測順位は下記の通り:

 

①鹿島アントラーズ(私の予測:4位)

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②川崎フロンターレ(同2位)

③ガンバ大阪(同3位)

④サンフレッチェ広島(同13位)

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⑤FC東京(同7位)

⑥浦和レッズ(同5位)

⑦清水エスパルス(同9位)

⑧アルビレックス新潟(同15位)

⑨名古屋グランパス(同1位、優勝

⑩横浜Fマリノス(同11位)

⑪ジュビロ磐田(同17位、降格

⑫京都サンガ(同16位、降格

⑬大宮アルディージャ(同14位)

⑭ヴィッセル神戸(同8位)

⑮モンテディオ山形(同18位、降格

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⑯柏レイソル(同12位)

⑰大分トリニータ(同6位)

⑱ジェフユナイテッド千葉(同10位)

 

(何回も言っているが、Jリーグはさすがに予測不可能っぽい。にもかかわらず、私の2010年J1順位予想は。)

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予測不可能? ①2010年のJ1優勝争い

2010/03/05(金)

シーズン終盤になっても優勝候補が依然として6つ、或いは8つも残るというJ1の歴史を見れば、結果を予測するのをやめておいたほうが良いことが明らかである。にもかかわらず、予測は毎シーズンの楽しみでもあり、やはり考えてしまう。昨年に続いて4チームがACLに挑戦する他、J2から上がってきたチームがいずれ注目を集めており、ワールドカップの関係で2ヶ月の中断期間も設けられる中、今年は例年よりも迷ってしまう。

 

週刊サッカーダイジェストは「開幕直前大予想」という企画で34人の意見を調査し、相変わらず鹿島アントラーズが優勝するという声が多かった。やはり3連覇中のアントラーズであり、私の2009予測のように、他を選ぶのがいつも危ない。しかし、現在のチームを見れば、世代交代を間近に進めなければならないという感じも強い。昨年の優勝前半戦の圧倒的な強さの結果だったと言って良いだろうが、秋には信じられない5連敗を喫し、脆弱性が明快に露呈されてしまった。今季は移籍が少なく、スタメンに30歳以上の選手が増えている中、どちらかに集中することになれば悲願のAFCチャンピオンズリーグ初優勝のほうがモチベーションが高いかもしれない。

 

先週の富士ゼロックススーパーカップで鹿島に敗れた、ガンバ大阪も「国内外タイトルの獲得」という高い目標を掲げているが、アントラーズとの共通点は残念ながらこれだけにとどまらない。2009年は前半戦と後半戦でガンバの明暗も分かれ、夏まではアジアの舞台で5連勝しながらも国内で結果を残せなかった一方、ACLベスト16で敗退してからは調子を取り戻し、優勝争いに復帰した。しかし、ユース育成が相変わらず結果を残しており、30歳前後の中盤選手が後半戦から再びチームの牽引役を果たしたかもしれないが、同時に2つの前線で戦う力が昨年より向上しているとは言いづらい。プレシーズンに怪我人が多く、新加入したフォワードがまだ活躍できていないことも心配である。

 

さて、一体どこが優勝するのか。昨年、私がチャンピオンと予想していた名古屋グランパスは結局、どこよりも「国内外」の難しさを証明し、ACLは初出場で準決勝まで進出しながらもリーグ戦は9位と低迷した。今季、 ドラガン・ストイコビッチ監督のチームはこの経験を活かし、リーグ戦だけに集中できるチャンスをものにしたいだろう。若手DF吉田麻也がオランダのVVVフェンロに移籍した一方、(浦和レッズから)田中マルクス闘莉王と(J2に降格した大分トリニータから)金崎夢生が新加入し、2人とも日本代表選手として成果を期待される。また、昨年の途中でカタールへ離脱したダヴィの代わりに入団した、オーストラリア代表のジョシュア・ケネディはドイツ時代にはあまり得点力を発揮できなかったものの、名古屋ではすぐに存在感を示し、今年も結果を残せればグランパスの本格的なタイトル争いにも貢献できるはず。

 

しかし、私には、川崎フロンターレが待ちに待っている悲願の初タイトルを今年こそ、きっと手にするだろうという印象が強い。昨年は4つのタイトルも近くに見えながら実際には手が届かず、公式戦52試合とスケジュールも名古屋に次いでJ1で2番ハードだったが、二度味わいたくないという意味でも、この長い一年から学んだことが多く、選手たちは個人としてもチームとしても成長できたに違いない。メンバーはバランスも良く、レベルも一貫して高いし、フランス1部のレンヌから新加入した稲本潤一の豊富な経験もチームの力になるだろう。関塚隆監督の退団は確かにショックだったが、その後任者の高畠勉は長年、川崎一筋の経歴を誇り、2008年には代理監督としてクラブをリーグ戦で2位へと導いた。今年のACLグループリーグ組み合初戦ていが、これでも災い転じて福となるかもしれない。いわゆる「死の組」を突破できれば自信が高まり、或いは敗退の場合はJリーグに全力を尽くす機会と捉えれば良い。

 

2010年J1順位予想

①川崎フロンターレ

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②名古屋グランパス

③鹿島アントラーズ

④清水エスパルス

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⑤ガンバ大阪

⑥FC東京

⑦浦和レッズ

⑧横浜Fマリノス

⑨サンフレッチェ広島

⑩ジュビロ磐田

⑪アルビレックス新潟

⑫セレッソ大阪

⑬ベガルタ仙台

⑭大宮アルディージャ

⑮ヴィッセル神戸

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⑯京都サンガ

⑰モンテディオ山形

⑱湘南ベルマーレ

 

ACL圏内と残留争いのコメント、そして私の2009年予測順位に振り返る分析は。)

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