予測不可能? ①2010年のJ1優勝争い
シーズン終盤になっても優勝候補が依然として6つ、或いは8つも残るというJ1の歴史を見れば、結果を予測するのをやめておいたほうが良いことが明らかである。にもかかわらず、予測は毎シーズンの楽しみでもあり、やはり考えてしまう。昨年に続いて4チームがACLに挑戦する他、J2から上がってきたチームがいずれ注目を集めており、ワールドカップの関係で2ヶ月の中断期間も設けられる中、今年は例年よりも迷ってしまう。
週刊サッカーダイジェストは「開幕直前大予想」という企画で34人の意見を調査し、相変わらず鹿島アントラーズが優勝するという声が多かった。やはり3連覇中のアントラーズであり、私の2009年予測のように、他を選ぶのがいつも危ない。しかし、現在のチームを見れば、世代交代を間近に進めなければならないという感じも強い。昨年の優勝は前半戦の圧倒的な強さの結果だったと言って良いだろうが、秋には信じられない5連敗を喫し、脆弱性が明快に露呈されてしまった。今季は移籍が少なく、スタメンに30歳以上の選手が増えている中、どちらかに集中することになれば悲願のAFCチャンピオンズリーグ初優勝のほうがモチベーションが高いかもしれない。
先週の富士ゼロックススーパーカップで鹿島に敗れた、ガンバ大阪も「国内外タイトルの獲得」という高い目標を掲げているが、アントラーズとの共通点は残念ながらこれだけにとどまらない。2009年は前半戦と後半戦でガンバの明暗も分かれ、夏まではアジアの舞台で5連勝しながらも国内で結果を残せなかった一方、ACLベスト16で敗退してからは調子を取り戻し、優勝争いに復帰した。しかし、ユース育成が相変わらず結果を残しており、30歳前後の中盤選手が後半戦から再びチームの牽引役を果たしたかもしれないが、同時に2つの前線で戦う力が昨年より向上しているとは言いづらい。プレシーズンに怪我人が多く、新加入したフォワードがまだ活躍できていないことも心配である。
さて、一体どこが優勝するのか。昨年、私がチャンピオンと予想していた名古屋グランパスは結局、どこよりも「国内外」の難しさを証明し、ACLは初出場で準決勝まで進出しながらもリーグ戦は9位と低迷した。今季、 ドラガン・ストイコビッチ監督のチームはこの経験を活かし、リーグ戦だけに集中できるチャンスをものにしたいだろう。若手DFの吉田麻也がオランダのVVVフェンロに移籍した一方、(浦和レッズから)田中マルクス闘莉王と(J2に降格した大分トリニータから)金崎夢生が新加入し、2人とも日本代表選手として成果を期待される。また、昨年の途中でカタールへ離脱したダヴィの代わりに入団した、オーストラリア代表のジョシュア・ケネディはドイツ時代にはあまり得点力を発揮できなかったものの、名古屋ではすぐに存在感を示し、今年も結果を残せればグランパスの本格的なタイトル争いにも貢献できるはず。
しかし、私には、川崎フロンターレが待ちに待っている悲願の初タイトルを今年こそ、きっと手にするだろうという印象が強い。昨年は4つのタイトルも近くに見えながら実際には手が届かず、公式戦52試合とスケジュールも名古屋に次いでJ1で2番ハードだったが、同じ辛さを二度と味わいたくないという意味でも、この長い一年から学んだことが多く、選手たちは個人としてもチームとしても成長できたに違いない。メンバーはバランスも良く、レベルも一貫して高いし、フランス1部のレンヌから新加入した稲本潤一の豊富な経験もチームの力になるだろう。関塚隆監督の退団は確かにショックだったが、その後任者の高畠勉は長年、川崎一筋の経歴を誇り、2008年には代理監督としてクラブをリーグ戦で2位へと導いた。今年のACLはグループリーグ組み合わせが厳しく、初戦はすでに負けているが、これでも災い転じて福となるかもしれない。いわゆる「死の組」を突破できれば自信が高まり、或いは敗退の場合はJリーグに全力を尽くす機会と捉えれば良い。
2010年J1順位予想
①川崎フロンターレ
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②名古屋グランパス
③鹿島アントラーズ
④清水エスパルス
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⑤ガンバ大阪
⑥FC東京
⑦浦和レッズ
⑧横浜Fマリノス
⑨サンフレッチェ広島
⑩ジュビロ磐田
⑪アルビレックス新潟
⑫セレッソ大阪
⑬ベガルタ仙台
⑭大宮アルディージャ
⑮ヴィッセル神戸
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⑯京都サンガ
⑰モンテディオ山形
⑱湘南ベルマーレ
(ACL圏内と残留争いのコメント、そして私の2009年予測順位に振り返る分析はここ。)
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