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隣との衝突

2010/02/17(水)

今回の東アジアサッカー選手権2010はあまり世界中に報道されなかったが、ある意味ではイギリス人にとって興味深い、参考になる大会だった。昔の「British Home Championship」(英国4協会選手権)は初回ワールドカップよりも46年前、1884年に世界サッカー界で初めての国際大会として設立され、イギリスを構成する4ヶ国(イングランドスコットランドウェールズ・アイルランド(現在は北アイルランド))が東アジア選手権と同様の総当たり戦を争ったもので、戦時中を除いて、1983-84シーズン大会までまる一世紀に亘って毎年開催された。同シーズンの末、この「British Home Championship」が中止となった理由として、当時のフーリガン事件の多発や北アイルランド紛争といった社会政治的問題とともに、スケジュールが詰まっていたことやサポーターの無関心なども挙げられたが、ここ数年はブリティッシュ・ダービーが懐かしいという声が再び多くなってきた。これを受け、この大会は新しい「4 Associations’ Tournament」という形で、来年のダブリン大会を皮切りに27年ぶりに復活することになっている。

 

但し、初回の開催地、アイルランド共和国はイングランドの代わりに参加する。その結果、ケルト同士の大会としてアピールがあるとはいえ、イングランド戦に匹敵する集客力は期待できないに違いない。FA(イングランドサッカー協会)でも原則、「British Home Championship」の復活に賛成だったが、日程が厳しいことから参加を拒否したという。これは「フレンズ」のフィービーの言葉を借りれば、「手伝えるといいんだけど、伝いくないの」と解釈すれば良いだろう。

 

イングランドの不在はともかく、アイルランド共和国は少なくとも今回の東アジア選手権の主催国、日本代表よりは良いパフォーマンスを見せたいだろう。岡田ジャパンは2日の国際親善試合でベネズエラと0対0で引き分けたことから、同選手権が始まる前からもマスコミの批判を浴びている中、6日に行われた本大会の開幕戦・中国戦もまた期待外れのスコアレスドローに終わった。サポーターの興奮度も最初から高かったとは言えない。中国戦の後、味の素スタジアムの客席からブーイングが飛んだが、半分が空席だったし、それに続き、日本が3対0で勝利した第2戦・香港戦は観客数が16368人に過ぎず、国立競技場で行われた男子の日本代表戦ではJリーグ発足後、最少となった。一方、日本代表戦がなかった7日(韓国対香港)と10日(中国対韓国)にも、入場者数がそれぞれ3000人前後と、スタンドがガラガラだった。

 

最後に、14日の韓国戦では雰囲気がようやく盛り上がったが、東アジア選手権で初優勝を狙った日本にとっては結局、何もかもが裏目に出て、1対3で惨敗した。相手のホ・ジンム監督(見る度に顔がますますビートたけしとそっくりに見える)は隣で勝利を祝福したが、岡田監督は再び自分の立場とワールドカップベスト4の目標を弁護せざるを得ないところだった。

 

しかし、この大会の背景もちろん考慮すべきである。2009年シーズンが元日の天皇杯決勝戦を以て終了したが、日本代表のメンバーは早くも1月25日から鹿児島合宿に集合し、それから東アジア選手権を終えてJリーグの開幕戦まで後3週間もあったので、選手たちの調子はまだプレシーズン状態というのは当然である。練習試合という感じが恐らくサポーターにも伝わり、ヨーロッパのクラブで活躍している選手を呼べなかったことも大きかっただろう。また、こういった状況をうまく利用し、2度目の優勝を飾った中国は日本と韓国とは違い、ワールドカップに出場しないため東アジアのタイトルに100%集中できたことも忘れてはいけない。つまり、冷静に考えてみれば、日本の「失敗」そのものはそれほど大した問題ではないと言って良いだろう。

 

にもかかわらず、得点力不足の苦しみやここ数日間の更なる批判は確かに、これからの大きなチャレンジに向けて精神的な影響を与えてしまう可能性がある。岡田監督は今のプレッシャーをチームのモチベーションに変えて乗り切るしかないが、批判がファンや記者のみならず上からも来ている中、これは余計に難しい仕事になるかもしれない。日本サッカー協会の犬飼基昭会長も不満を抱えていても当然であるが、プライベートではなく、公にどんどん毒舌を吐くというのは、大人げない反応だろうし、何の役にも立たない。

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