ACL:いよいよキックオフ
川崎フロンターレの元監督・関塚隆は昨年末に電撃退団したとき、その理由は秋まで狙っていたタイトルを4つとも獲得できなった責任を取ったとされた。しかし、12月7日にクアラルンプールで行われた、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)2010の組み合わせ抽選にも注目していたのかもしれない。
今年も昨年に続き、ACLに出場する32チームは準々決勝まで西地区と東地区に分かれており、グループリーグでは同じ国のクラブが対戦しない「カントリープロテクション」も考慮されるため、Jリーグの4チームはそれぞれ別のグループに振り分けられ、必ず中国勢と韓国勢と対決することになっていた。そして、各グループの4つ目のメンバーは強豪オーストラリア勢、或いは東南アジアの比較的弱い相手という五分五分の可能性であり、グループの全体的な難易度を大きく左右する要素だった。フロンターレは結局、オーストラリア王者・メルボルン・ビクトリーの形で一番の貧乏くじを引いてしまったが、それのみならず、残りの2チームは中国スーパーリーグを制した北京国安とKリーグ準優勝の城南一和天馬も揃い、難しい相手ばかりとなった。もし関塚監督がこの死の組に怯えたなら、それほどおかしなことではない。
とにかく、23日の城南戦は川崎の新体制にとって初挑戦となる。2008年に健康不安のため一旦辞任した関塚監督の代わりに8ヶ月監督を務めた、元ヘッドコーチ・高畠勉が再び川崎の監督に就任し、9年間ヨーロッパで経験を積んだ日本代表MFの稲本潤一も新加入した。韓国サッカーで最も豊富なタイトル歴を誇る相手の敵地で、フロンターレの悲願の初トロフィーに向けて好スタートを切りたいだろう。
一方、稲本の古巣、ガンバ大阪の組はより楽のようである。24日の水原三星ブルーウィングスとのアウェイ戦は恐らく最も高いハードルとなるだろうが、それでも車範根(チャ・ブンクン)監督のチームは昔の面影が失われていることは確かである。2008年に2冠王に輝いた水原は昨年のACL初戦で鹿島アントラーズを4対1で圧倒して以来不調に陥り、リーグ戦では10位と低迷し、韓国FAカップ決勝戦のPK戦でギリギリの優勝を決めなければACL出場権も逃すところた。ガンバは現在、曹宰榛(チョ・ジェジン)の右手負傷や新加入のゼ・カルロスのコンディションなど、フォワード陣に課題はあるが、もし今週は負けるとしても、河南建業(中国で3位)とシンガポール・アームド・フォース(昨年のACLグループリーグ6試合で19失点)には十分差をつけ、無事に決勝トーナメント進出を決めるはず。
しかし、2008年のアジア王者にとって最大のチャレンジとなるのはまた、グループリーグの直後に行われる、一発勝負の決勝トーナメント1回戦(ベスト16)かもしれない。ガンバは首位か2位かを問わず、突破すれば必ず死の組の相手と対戦することになり、昨年のベスト16で敗れた川崎と再度対決する可能性がある。
昨年のガンバ対フロンターレ戦は、グループリーグ突破が既に決定的だった川崎が第6戦、等々力で浦項スティーラースに敗れ、首位を奪われたことから実現した。そこから、Jリーグ同士の対決がさらに続き、最後に残された名古屋グランパスは国際経験が少なく準決勝で惨敗した一方、浦項は決勝トーナメントに入ってから一回も日本勢と対戦せずに3度目のアジア制覇を達成した。日本サッカー界には、これを見て悔しい思いをした人がたくさんいただろうが、浦項は今年、初出場を果たすサンフレッチェ広島と同じグループHで戦い、日本勢のリベンジの意味も込めてかなり面白い勝負になりそうである。他の2チームは中国の山東魯能(国内リーグでは5位、6位と勝ち点が並ぶも何とか4位を決めた)と2008年のACLで準優勝した、現在低迷中のアデレード・ ユナイテッド(Aリーグ 2008-09 準優勝チームとして参加するが、今月は2009-10シーズンを最下位で終了した)であり、広島の進出するチャンスが十分あるだろう。
今季のベスト8では同じ国のクラブが2つあった場合のみ、カントリープロテクションが考慮され、昨年のような日本勢同士対決の連続は再現されない。但し2008年のように、Jリーグから3チーム以上も進出した場合は改めてオープンドローに戻るが、これは恐らく、アントラーズ次第ということになる。鹿島は国内ではJリーグ史上初めてとなる3連覇を果たした一方、アジアの舞台でのやり残したことはやはりオリヴェイラ監督や選手たちのコメントと年間目標から、一目瞭然である。しかし、今年は全北現代モータース(韓国王者)、長春亜泰(中国リーグで準優勝)、ペルシプラ・ジャヤプラ(インドネシア)と同じ組に入りながら、問題はグループリーグを突破した後のことである。ACLになって4度目の出場になるが、決勝トーナメントではまだ1つの勝利も挙げられていない。
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