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氷雪の国

2010/01/20(水)

今回のクリスマス帰国はタイミングがばっちりだった。今年のファースト且つラストのブリティッシュ・ブレックファースト(ベーコンや目玉焼き、ソーセージ、ブラックプディングなど)を貪り食い、ブリストル空港から日本へ向かって出発した翌日、イギリスは国中至る所に雪に見舞われ、空港がすべて麻痺状態になってしまった。

 

私が気付いたのは大阪の部屋に着いてから、時差ボケのピークのときだった。朝の5時に眠れず、イングランドのカーリングカップ準決勝を観ようと思った矢先に番組がスカパーのEPGから姿を消していた。イギリス国内では「ピッチは大丈夫だが、スタジアムの周辺や駐車場で滑って転ぶ事故があればクラブ側が訴えられないかと恐れているのでは」という声もあったが、とにかくその週の週末(8~9日)も結局、悪天候による中止がプレミアリーグ史上最多の8試合だった。イギリスの友達から雪合戦や(ある1人の場合)イグルー構築など、大雪の休業日の話を聞いて少し羨ましかったが、クリスマスに貰ったDVDを見ながら、やはり、せっかく帰国していた間にサッカーが中止となったらさらに勿体なかっただろうという結論に達した。

 

実のところ、私が故郷で過ごした2週間はただ寒かっただけで、凍った歩道で尻餅をついたことも2、3回ありながらも、大切なサッカー観戦は幸い無事だった。ニューイーヤの二日酔いを覚ますためにも、元日は約15キロ離れた隣の町へ出かけ、屋根のなかったアウェイ側で地元の実質8部チーム、トーントン・タウンを毎年恒例のように熱く応援した。トーントンは2007年にプレーオフ決勝戦で7部昇格を逃したが、それ以来は毎シーズン残留争いに巻き込まれており、この試合も相手のブリッジウォーター・タウンが(かなり面白い喧嘩の末)1人少ない状態になっても点が取れず、勿体ないPKでダービー戦を負けてしまった。そして2日はFAカップ3回戦だったので、ルートン・タウン(現在5部で7位)ファンの伯父とサウサンプトン(3部で13位)戦にも行った。結局、ルートンも同じ1対0で敗れてしまったが、リーグの差を感じさせない、なかなか良い勝負だった。

 

Bridgeytaunton

ブリッジウォーター・タウン対トーントン・タウン(黄)、2010年1月1日

 

在日イギリス人ライターとして、Jリーグのチームはイングランドだったら何部の何位くらいなのか、というようなことを頻繁に聞かれるのであるが、公式戦での直接対決は2008ガンバ大阪マンチェスター・ユナイテッドの1試合しかない中、これは結構難しい質問である。私はいつも、J1のトップチームならばテクニカルな面ではプレミアの下位レベルより優れているはずだが、やはりフィジカルな面では今でも不利な立場にあり、結果的に残留争い、というふうに答える。しかし、サッカーの下部組織を探索してみれば、トーントン・タウンにも勝てないチームは日本の地域リーグ(実質4部、5部)まで1つもないだろうが、サウサンプトンやルートンに相当するチームはどこかと言えば、ますます推測の話になってしまう。27年間もプレミア勢だったサウサンプトンは2005年から急落してきたが、もし日本へ移住させられることがあれば、2010年のチームでも2日の証拠に基づいて、プレーの速さだけでJ1残留を決める可能性がある。ルートンは財務管理下に置かれた影響もあり、現在はフットボールリーグからも姿を消しているが、それでも例えば、私の気に入った愛媛FCと比較すれば、チーム色は一緒ながら経験の度合いや(アダム・ニュートンの信じられないミスにもかかわらず)プレーの内容はルートンがわずかに優れているかもしれない。

 

Sotonluton

サウサンプトン対ルートン・タウン(オレンジ)、2010年1月2日

 

最後に、話が観客席に変わるが、中には空虚な脅し(その多くは安全な距離を隔て、隣のスタンドから)もあったとはいえ、サポーター同士の冗談やからかいはやはり面白くて懐かしかった。ブリッジウォーター対トーントンはダービーということから、観客動員数はいつもの4倍ほど、1000人を超え、私がスクランピーを数パイント飲まなければもう真似できなくなった、キツい「サマセット弁」の冗談を交わし合いながら皆で盛り上がった。翌日のセント・メリーズ・スタジアムでも、お互いの近年の低迷や降格がブラックユーモアのネタとなり、特にルートン側はサウサンプトンの地域ライバルであるポーツマスの応援歌や、(ポーツマス時代には昇格やFAカップ優勝を果たしたが、サウサンプトン時代には2部リーグに降格してポーツマスに再び戻った)ハリー・レドナップ監督の歌を繰り返した。Jリーグではファンが90分歌い続けても、こういったユーモアはなかなか表現されず、相手に対するコールはたいてい、特に嫌われているライバルとJ2に落ちてしまいそうなクラブに限る。挑発と喧嘩は確かに避けたいし、イギリスのクラブが2000年代に入ってから相次いで倒産してしまうような悲しいネタももちろん浮かばないで欲しいが、私の好きなガンバ大阪も含め、日本のサッカー応援もたまに冗談っぽくすれば良いのではないかと、帰りの飛行機で思った。

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コメント

>日本のサッカー応援もたまに冗談っぽくすれば良いのではないかと、帰りの飛行機で思った。

それが自然に出来たら、日本のサッカー応援文化も一段階段を上がったように感じるでしょうね。
Jリーグの応援は、特定の集団(コールリーダー)からのトップダウンになっていますから
あんまりアドリブが効かないように思えます。
欧州と比べて民族的な部分や、サッカーに対する歴史やリテラシーに違いがある分、
日本らしい面白い応援があってもいいのに・・・
だけどゲームフラッグだけは、日本は妙に凝ってるような気がします(笑)

投稿: gaz | 2010年1月25日 (月) 20時57分

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