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鹿島が有利も、首位が毒杯

2009/12/01(火)

無慈悲なカウンターアタックで青と黒のアウェイサポーターを唖然とさせた。28日、鹿島アントラーズ45分だけ悪魔のように冷酷な攻撃姿を取り戻し、J史上最大となる勝ち点差19から奇跡の逆転を狙ったガンバ大阪の夢を砕いて、ただの空想にした。チームが失速していた中、心配に心配を重ねたオズワルド・オリヴェイラ監督にとっては、救済だった。アントラーズにとって今季最大の勝利はフォワードのフィニッシュと同じくタイミングが完璧、ここ4ヶ月背負ってきた負担はしばしの間ながらも軽減した。

 

始終、簡単だったわけではない。前半には小笠原満男佐々木勇人と衝突し、退場になってもおかしくなかったが、そのまま0対0で折り返し、後半は守備ミスを次々と犯し墓穴を掘るまで、ガンバのペースで進んだ。鹿島はその後、例の吉田寿光審判にも助けられ(ルーカスの退場はもちろん、チョ・ジェジンがCKの直後、エリア内で倒されるシーンもあった)、ガンバがわずかの望みを捨てず攻め続けることがなければ、田代有三ダニーロに4、5点目を追加するスペースもなかったと言って良いだろう。しかし、特に見事な得点力を見せた興梠慎三をはじめ、鹿島の選手たちとオリヴェイラ監督は皆役割を果たし、チャンスをそつなくものにした。ガンバの西野朗監督が残念そうに認めた通り、「さすがアントラーズ」だった。

 

カシマスタジアムのスコアボードには試合終了の直後、現在2位の川崎フロンターレが辛うじてアルビレックス新潟に1対0で勝った、との表示があった。その結果、その場で優勝祝いができず、J1タイトル争いは1シーズン制に移行した2005年から毎年のように、最終節まで縺れ込むことになった。リーグ戦4連勝中、勝ち点差2で首位をキープした鹿島はもちろん、依然として有利であり、5日は埼玉スタジアムで厳しいアウェイ戦を迎えるとは言え、相手の浦和レッズACL出場権を獲得できる3位以内に入る可能性が消滅した(第33節で京都サンガに負けたことで、ガンバの3位が決定した)ことも、アントラーズにとってプラスである。川崎は得失点差が優位のため、J2降格が既に決定している柏レイソルをアウェイで破ればチャンスがあるが、それでも鹿島の失敗を祈るしかない。

 

しかし、これはやはり「誰も優勝したくないのか?!」と言わせる、不思議なJリーグであり、いざというときに失敗した経験は鹿島にも川崎にも共通する。アントラーズは2位以下に最大勝ち点差10をつけ、一時期は数試合を残してビールかけができそうだったが、7月18日から1017日の間はクラブワースト5連敗を含む、12戦で勝ち点9しか挙げられなかった。それによって、清水エスパルスは勝ち点差17を大逆転し、第28節終了時点でトップに立つことができたが、同時点で4度しか負けていなかったエスパルスはそれ以来5連敗中で、現在7位まで後退している。当初、鹿島の不調につけ込めなかったフロンターレは第29節を終えて、ようやく首位に躍り出たが、1122日に何と最下位の大分トリニータに敗北し、優位をまた失ってしまった

 

鹿島は(土壇場で力尽きた浦和を上回った2007年から始まる)3連覇へ挑戦する中、既に1つのライバルをやっつけ、調子も取り戻した結果、運命を自らの手に最終節を迎える。しかし、Jリーグの歴史を振り返ってみれば、これは何の保障にもならず、むしろ最悪のジンクスかもしれない。一方、ナビスコの大騒ぎはともかく、多くの中立ファンは永遠の2位・永遠のエンターテイナーとして、まだまだ川崎を応援するだろう。

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