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2009年12月

Jリーグの最終週末に学んだこと

2009/12/08(火)

① 鹿島アントラーズはさすがのチャンピオン

鹿島アントラーズのプレースタイルや態度、そしてF1のジェンソン・バトン選手のように後半戦に急失速した(第1~17節は勝ち点42も取ったのに対し、第1834節はわずか勝ち点24だった)ことはあまり魅力的ではないという声もあるが、今年もやはり誰よりも強く、さすがのチャンピオンとして高く評価すべきである。秋にはまさかの5連敗を喫し、最大10まで広がっていた勝ち点差が完全に削られた後、アントラーズは調子を何とか取り戻し第32節を終えて再びトップに立ったが、3位のガンバ大阪と埼玉スタジアムで浦和レッズというのは悪夢のように厳しそうなラスト2だった。しかし、優勝争いのライバルは皆いざというときに慌ててしまった一方、鹿島だけが毎年のように勝ち続けた。おめでとうございます。

 

② 闘莉王は試合が終わっても相変わらず難しい相手

6年間在籍した浦和を今季限りで去ることが決定的な田中マルクス闘莉王は、アントラーズの優勝祝いを見て喜びを分かち合えなかった。チームでのラストマッチが惜敗に終わり、そして「自分からチームを出て行くというのではなく、レッズが自分を必要としていない」と、レッズの橋本社長との握手を拒否した。移籍先の候補として、今季公式戦16戦で38失点と守備で苦労しているウィガン・アスレティックも浮上しているが、このチームに貢献する存在感はあるだろうとはいえ、負けず嫌いな闘莉王は本当にプレミアの残留争いに向いているのだろうか。

 

③ 播戸竜二はいつまでも大衆の味方…

播戸竜二天皇杯決勝戦や8月の浦和戦では劇的な決勝ゴールを決めてくれたが、今年J1戦でスタメンは1試合もなく、出場時間も合わせて421分に過ぎなかったので、今季限りでガンバ大阪を退団するとのニュースはあまりショックではなかった。しかし、セレッソに移籍しない限り、播戸はいつまでもガンバのサポーターに愛され続けるだろう。5日、万博で最後となったジェフユナイテッド千葉戦の試合後、「バンちゃん」はいつものお礼や送別スピーチに満足せず、わざわざスタンドをよじ登って、ファンの中でお別れの挨拶をしてくれた。お金持ちのプレミアなら有り得ない、嬉しいハプニングだった。

 

④ …だが、満席のスタンドで人を胴上げするのはやはり危ない

北ゴール裏の熱い応援団の一員として、私は播戸の挨拶と「1、2、3、バン!」コールリードを目の前で楽しんだが、いつの間にかその場で胴上げもすることになった。すると、勢いでバランスが崩れた播戸は思わず腕を振り、肘で私の顔をうっかり殴ってしまった。私は頭が少しぼうっとし、鼻から血が流れ出ていたまま、落ちたメガネが踏み壊されないように必死に捜し回り、大変なことになった。しかし、それはともかくとして、バンちゃんが私に特別な痕跡を残したことにしようと思う。

 

⑤ 「ベスト4の夢」への道はさらに厳しくなった

W杯組み合わせ抽選が行われた4日の夜、私はイギリス・ガーディアン紙の「ファンズ・ネットワーク」で日本側の反応を担当したが、岡田ジャパンのチャンスをアピールすることがますます難しい仕事となった。抽選の結果を受け、ベスト4はひとまず置き、グループEを突破するにはカメルーン戦とデンマーク戦のどちらかに勝ち、どちらかに引き分け以上、そしてオランダ戦と最終順位表は運に任せて祈るという問題になるかもしれない。フィジカルな面はいずれも厳しいだろうし、デンマークとの中盤争いは日本が技術で勝てるとはいえ、予選でわずか5失点しか許さなかった相手の守備を崩せる決定力は岡田ジャパンにあるのだろうか。

 

⑥ マスコミの方々は意見を率直に言うべき

週末にお話した数十人の日本人サッカーファンは皆、共通する気持ちが3つあった。1つは、シーズンの閉幕パーティーがしたいとの気持ち。2つは、W杯組み合わせや日本のチャンスに悲観的な気持ち。そして3つは、岡田監督が掲げた「ベスト4」目標で何度も繰り返して盛り上がるマスコミにイライラする気持ち。確かに、このようなびっくりするほど楽観的なターゲットを日本のマスコミほど応援する(若しくは、反対するのを恐れる)国はほかにないだろう。ここはマスコミとは呼べないが、私ははっきり言ってしまう:来年はグループリーグを突破するだけでも、大成功である。ベスト4まで進めば、奇跡である。

 

* このコラムは年明けまで休ませて頂きます。ここ⑥に述べたことにもかかわらず、イングランド・サマセットに里帰りし、地元の友達と家族に日本のサッカーを思い切りアピールしてくる予定です。

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2009/12/02(水)

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鹿島が有利も、首位が毒杯

2009/12/01(火)

無慈悲なカウンターアタックで青と黒のアウェイサポーターを唖然とさせた。28日、鹿島アントラーズ45分だけ悪魔のように冷酷な攻撃姿を取り戻し、J史上最大となる勝ち点差19から奇跡の逆転を狙ったガンバ大阪の夢を砕いて、ただの空想にした。チームが失速していた中、心配に心配を重ねたオズワルド・オリヴェイラ監督にとっては、救済だった。アントラーズにとって今季最大の勝利はフォワードのフィニッシュと同じくタイミングが完璧、ここ4ヶ月背負ってきた負担はしばしの間ながらも軽減した。

 

始終、簡単だったわけではない。前半には小笠原満男佐々木勇人と衝突し、退場になってもおかしくなかったが、そのまま0対0で折り返し、後半は守備ミスを次々と犯し墓穴を掘るまで、ガンバのペースで進んだ。鹿島はその後、例の吉田寿光審判にも助けられ(ルーカスの退場はもちろん、チョ・ジェジンがCKの直後、エリア内で倒されるシーンもあった)、ガンバがわずかの望みを捨てず攻め続けることがなければ、田代有三ダニーロに4、5点目を追加するスペースもなかったと言って良いだろう。しかし、特に見事な得点力を見せた興梠慎三をはじめ、鹿島の選手たちとオリヴェイラ監督は皆役割を果たし、チャンスをそつなくものにした。ガンバの西野朗監督が残念そうに認めた通り、「さすがアントラーズ」だった。

 

カシマスタジアムのスコアボードには試合終了の直後、現在2位の川崎フロンターレが辛うじてアルビレックス新潟に1対0で勝った、との表示があった。その結果、その場で優勝祝いができず、J1タイトル争いは1シーズン制に移行した2005年から毎年のように、最終節まで縺れ込むことになった。リーグ戦4連勝中、勝ち点差2で首位をキープした鹿島はもちろん、依然として有利であり、5日は埼玉スタジアムで厳しいアウェイ戦を迎えるとは言え、相手の浦和レッズACL出場権を獲得できる3位以内に入る可能性が消滅した(第33節で京都サンガに負けたことで、ガンバの3位が決定した)ことも、アントラーズにとってプラスである。川崎は得失点差が優位のため、J2降格が既に決定している柏レイソルをアウェイで破ればチャンスがあるが、それでも鹿島の失敗を祈るしかない。

 

しかし、これはやはり「誰も優勝したくないのか?!」と言わせる、不思議なJリーグであり、いざというときに失敗した経験は鹿島にも川崎にも共通する。アントラーズは2位以下に最大勝ち点差10をつけ、一時期は数試合を残してビールかけができそうだったが、7月18日から1017日の間はクラブワースト5連敗を含む、12戦で勝ち点9しか挙げられなかった。それによって、清水エスパルスは勝ち点差17を大逆転し、第28節終了時点でトップに立つことができたが、同時点で4度しか負けていなかったエスパルスはそれ以来5連敗中で、現在7位まで後退している。当初、鹿島の不調につけ込めなかったフロンターレは第29節を終えて、ようやく首位に躍り出たが、1122日に何と最下位の大分トリニータに敗北し、優位をまた失ってしまった

 

鹿島は(土壇場で力尽きた浦和を上回った2007年から始まる)3連覇へ挑戦する中、既に1つのライバルをやっつけ、調子も取り戻した結果、運命を自らの手に最終節を迎える。しかし、Jリーグの歴史を振り返ってみれば、これは何の保障にもならず、むしろ最悪のジンクスかもしれない。一方、ナビスコの大騒ぎはともかく、多くの中立ファンは永遠の2位・永遠のエンターテイナーとして、まだまだ川崎を応援するだろう。

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