7対0のセブンスヘブン
J1で攻撃的サッカーを理念とする2チームにとって、明暗の第30節だった。ガンバ大阪は10位に沈んでいる横浜Fマリノスのまとまった守備をなかなか崩せず、痛み分けを覚えた一方、川崎フロンターレは首位のプレッシャーを感じることなく、サンフレッチェ広島を7対0の大量点差で冷静・冷酷に圧倒した。
確かに、サンフレッチェの若手DF、森脇良太が前半25分に警告2枚で退場になったことも大きかったが、それでも自ら優勝を諦めていなかった相手を無慈悲に攻撃し続けた、川崎のパフォーマンスを損ねることはない。サンフレッチェは10月に入ってからすでにガンバと清水エスパルスと引き分けていたし、先制されて1人少ないままでも我慢しつつ、同点のチャンスを何度か作りだした。こうした中、鄭大世が後半16分にようやく追加点を決めると、フロンターレはこれからのチャレンジに向けて温存モードに入り、最後まで2点リードを守り切ろうとしてもおかしくなかった。しかし、単なる勝利に満足せずに、むしろ20分でさらに5点も加えたことで、「日程がいくら厳しくてもエネルギーは十分あるぞ」という、力強いメッセージを優勝争いのライバルに放った。
残り4試合、恐らく5チームも現実的な優勝見込みがある中、この「7」は最終的に得失点差で大きなアドバンテージに繋がるかもしれない。フロンターレはまだ1度もタイトルを獲得できていないが、僅か5年前からJ1に昇格してから、あっという間に毎年、常時優勝候補というレベルまで到達した。鄭大世やジュニーニョの得点力に恵まれ、2006年と昨年にはJ1最多得点で準優勝を果たした、川崎風の攻撃的サッカーは今年も全国の注目を集めている。
これまで、国内外のカップ戦でも「あと1歩」というところで不運を悔やむパターンが多いが、来週のヤマザキナビスコカップ決勝で2004年のチャンピオン、FC東京を破れば、悲願の初トロフィーが手に入る瞬間はついに訪れる。決勝戦は2007年の同カップでガンバ大阪に惜敗して以来、初めてとなるが、偶然にも、その直前のJ1第30節でも7対0の大勝利を記録した。完敗した相手は、FC東京だった。
一方、せっかく中位の低迷から抜け出し、何とかチャンスを取り戻したガンバはマリノスに勝てず、ただ今はやはり、優勝する要素がまだ備わっていないかもしれない。先週のコラムでは、ガンバがレアンドロの移籍以来、よりチームとして戦えるようになったと述べたが、24日には相手のプレッシングに対応できず、シュートを8本しか打てなかった。パスをいくら回してもゴールにはならないスコアレスドローを見ながら、私はガンバファンとして、攻撃の軸となるFWをたっぷり揃えている川崎が羨ましかった。
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