予測不可能な、J1優勝争い
J1の結果を予測するのは、明らかにやめておいたほうが良い。一貫して勝ち続けていた清水エスパルスが首位に立ち、念願の初年間優勝に近付いていると思った矢先、何と最下位の、勝たなければ5戦も残して降格が決定する大分トリニータに負けてしまう。エスパルスにとってはわずか5敗目だったが、今年の優勝争いも大混戦となっている中、最終的に優勝するチャンピオンは二桁の敗数を記録する可能性が十分ある。
5ヶ月も首位で独走していた鹿島アントラーズの泥沼化は、この大混戦において最も顕著な症状だけではなく、最も大きな原因とも言える。ACL敗退の後にもリーグ戦の好調が続き、前半戦を13勝3分け1敗の成績で折り返したが、それ以来、第29節までの12戦では、クラブワースト5連敗を含む7回も敗北を喫している。2位との勝ち点差が一回、10まで広がっていたので、急失速しながらも2週間前までは首位を守れたが、現在はトップと勝ち点差1で2位へ落ちている。次の2節は残留争いに巻き込まれたジェフユナイテッド千葉とモンテディオ山形を相手にホーム連戦なので、これをきかっけに調子を取り戻しかつてない3連覇を果たすチャンスはまだまだあるが、8月23日からリーグ戦で1勝も挙げられていない中、期待し過ぎないほうが良いかもしれない。
新しく首位に立った、川崎フロンターレは現在J2降格圏内の3チームと対戦する他、あと2試合がホームなので、優勝候補の中で一番優しいラスト5戦になりそうである。調子もなかなか良く、これまでの10試合で勝ち点19を取れてきたが、9月の浦和レッズ戦とガンバ大阪戦など、いざというときに弱いという疑問点もあり、鹿島の低迷にもう少しつけ込みたかっただろう。フロンターレは現時点で恐らく最強のチームだろうが、これから25日のサンフレッチェ広島戦と11月3日のナビスコカップ決勝戦(対FC東京)とテンションの高い試合が続き、3冠争い(ACL敗退までは4冠争い)を目前にハードなスケジュールに耐え切れるのか。
こうした中、首位と勝ち点17差で前半戦を折り返したエスパルスがいきなりトップに立った。大分で敗れ、また4位に落ちたが、それまでは6月27日のFC東京戦からリーグ戦で13試合無敗だった。今週末もまた、逆転優勝をまだ諦めていないFC東京を日本平へ迎えるので、勝ち点3で大分ショックをすぐになかったことにしたいだろう。しかし、得点力が少し心配である。8月初めからのリーグ戦10試合のうち、2点以上のゴールを決めた試合は5対1で快勝した静岡ダービー(対ジュビロ磐田)のみである。
一方、ガンバ大阪はこの1、2ヶ月でようやく調子を取り戻してきた。晩春・初夏には信じられないホーム5連敗を喫し、鹿島との勝ち点差が19まで広がり、ACLとナビスコカップから姿を消した。サポーターは会長と喧嘩したり、何も知らないライターは選手のやる気を疑ったりするほど、危険状態にあった。しかし、現在までの10試合で勝ち点21も取れ、何とか再び優勝争いに復帰できた。レアンドロがタイトルや得点王争いを見捨て、カタールへ移籍した後も、結果的に1人のスターに頼らず、よりチームとして戦えるようになった。今は得点数もJ1ベスト、失点数もトップ8で最も多いということで、昔のように「さすがガンバ」と言える。残りのホーム戦(次の2節は横浜Fマリノスと京都サンガ、そして最終節は降格がそれまでに決まることも考えられる、ジェフユナイテッド千葉)はすべて勝てそうというか、11月には清水と鹿島とアウェイで直接対決が続くので、ホーム戦で勝ち点9がとにかく必須条件と思えば良い。
このアウェイ連戦は確かにガンバにとって厳しいだろうが、4年ぶりにJ1優勝は手に届かなくても、2試合の結果によって優勝争いは大きく左右するに違いない。トップ4が勝ち点2差でひしめき合うJ1ラスト5戦であるが、その下にも5~8位のアルビレックス新潟、サンフレッチェ広島、FC東京、浦和レッズも潜んでおり、川崎と勝ち点差がそれぞれわずか6に過ぎない。予測できるのはまさに、何も予測できないとの事実のみである。
優勝候補の一覧
川崎フロンターレ(現:首位、勝点52、得失15)
第29節までの10戦:○○●○△●●○○○(勝点19)
残りの5戦:広島(H)、千葉(H)、大分(A)、新潟(H)、柏(A)
鹿島アントラーズ(現:2位、勝点51、得失10)
第29節までの10戦:●○●○●●●●●△(勝点7)
残りの5戦:千葉(H)、山形(H)、京都(A)、G大阪(H)、浦和(A)
ガンバ大阪(現:3位、勝点50、得失15)
第29節までの10戦:△○○●○○△○○△(勝点21)
残りの5戦:横浜FM(H)、京都(H)、清水(A)、鹿島(A)、千葉(H)
清水エスパルス(現:4位、勝点50、得失13)
第29節までの10戦:
○△○○△○○○△●(勝点21)
残りの5戦:FC東京(H)、柏(A)、G大阪(H)、横浜FM(A)、名古屋(H)
アルビレックス新潟(現:5位、勝点46、得失12)
サンフレッチェ広島(現:6位、勝点46、得失11)
FC東京(現:7位、勝点46、得失8)
浦和レッズ(現:8位、勝点46、得失3)
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