キリンカップ優勝に乾杯
このコラムをスタートしてほぼ1年が経ち、初めて日本代表について書くことにした。代表戦が面白くないわけでもなく(地元の8部リーグでも面白く見られるなら、やはりどの試合でも楽しめるだろう)、日本のゴールが決まると無意識に「やった!」と叫び出すので、外国人だからといって岡田ジャパンに興味がないわけでもない。しかし、日本のサッカーがこの十数年でどんどん成長してきた結果、サッカー界ではもう小さな国でもないがまだまだ世界に誇ることもない、という少し中途半端なレベルになってしまい、個人的にアジアの予選試合でなかなか盛り上がらないというのは確かである。
簡単にいえば、日本代表がアジア予選で失敗してしまい、ワールドカップに出られなくなることはもう考えられない。韓国、そしてAFCに加入してレベルアップしたオーストラリアもたぶん同様であり、また、サウジアラビアも(サイード・オワイランのスーパーゴールもあり決勝トーナメント進出に成功した)1994年のアメリカ大会以来、少し低迷しているにもかかわらず、W杯予選ぐらいは毎回突破できている。アジアの46ヶ国のうち、W杯に出場できるのは4つか5つと少なく聞こえるが、イランやイラク、北朝鮮、バーレーン、ウズベキスタンなどがより一貫して勝てるレベルまで上達しなければ、日本が予選を突破しても当たり前、それだけであまり喜べない、というようになっている。さらに、アジアカップが2007年大会から従来より1年早く開催されるようになってからは、夏期オリンピックやユーロと開催年が重ならず、W杯からリズムや競技レベルも維持できるという効果があったが、その決勝戦が終わるとすべてがやはり静かになってしまう。W杯の3次予選がその翌年にようやく始まるが、インドやオマーンといった国を破りグループ2位以内を目指すという「チャレンジ」は、サポーターや選手にとってテンションがなかなか上がらなくてもおかしくない。
しかし、今やこの周期の頂点がいよいよ回ってきている。先週のキリンカップは日本代表にとって、今月のW杯最終予選の3試合に向けて壮行試合として行われたが、3月にバーレーンに勝ったことで南アフリカの出場権がほぼ決定的となったため、今回は来年の本番に向けて準備のスタートを切ったとも言える。今年の招待チーム、ベルギー代表とチリ代表はクラブ試合の関係で(前者の国内リーグでは、スタンダール・リエージュとアンデルレヒトが勝ち点で並び、優勝プレーオフも特別に行われた)、確かにフルメンバーではなかったが、だからこそ、岡田ジャパンにかなりのプレッシャーがかかっていた。2試合とも4対0で快勝したというのは、見事な答えだった。
清水エスパルスの岡崎慎司は3ゴールも決め(今年は代表戦7出場で6得点)、現在脚光を浴びているが、彼とは他に、チーム全体として大きなプラスが2つあった。1つは、過去の日本代表に強いフォワードがいなく、得点を中盤に頼らざるを得なかったのに対して、現在はチャンスを作ったりゴールを決めたりできる選手が守備からフォワードまで、多く存在している。さらに、岡田監督は、山田直輝と山口智に(それぞれ、18歳と31歳で)デビューの機会を与え、本田圭佑の成長にも恵まれ、幾つかのコンビを試すこともできた。世界でベスト4という目標がかなり厳しいかもしれないが、4年前と比べると、現在の日本サッカーには人材が溢れており、来年はスタメンだけではなく、メンバーの23人に絞るのも大変な問題になりそうである。南アフリカへの道のりはまだまだ長いが、岡田ジャパンは良いスタートを切った。
固定リンク | コメント (2) | トラックバック (0)
コメント
岡田ジャパンの、これからも楽しみですが、べんさんのこれからのサッカー界での活躍も楽しみです。これからもコラム、拝見させていただきます。
投稿: | 2009年6月 2日 (火) 22時45分
>サッカー界ではもう小さな国でもないがまだまだ世界に誇ることもない、という少し中途半端なレベル
これぐらいの方がちょっと躍進できただけで喜べるちょうどいいレベルなんだぜ?
イングランドとか優勝しないと喜べないだろw
投稿: | 2009年6月 4日 (木) 14時13分