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2009年4月

金曜の夜は僕の生きがい

2009/04/22(水)

2、3年前の雨の土曜日、大学時代の仲間で集まって映画を見たところ(もちろん、サッカーはオフシーズンだったが)、ある1人が飲み会に参加せず、急いで先に帰った。数ヶ月、毎日14時間も働いていたがゆえに、目が充血し、疲労を一目で分かるような顔をしていたあの友達は、やはり週末にしっかり熟睡しなければ、すぐに体を壊すに違いないと言った。そこで、私は「仕事頑張り過ぎないでよ」と、さようならの挨拶をしたが、どこか行き違いがあったようだった。友達はこう答えた。

「というか、そんなに忙しいとは言えないけどね。ただ、先輩がいつも朝の8時に出勤するから、あたしは先に、7時ごろに着かないと、ちょっとまずいでしょ。」

 

この発言に驚いたのは、唯一の外国人の私だけだった。確かに、外国では有り得ない話とは言い切れないかもしれないが、日本の大企業で働いた自分の経験から、このように体裁のために残業せざるを得ない日本人がかなり多いだろう、と思うようになってきた。それに加え、上司や先輩の提案が明らかに間違っていても、若い部下や後輩が何とも言えなく従ってしまうという悪循環も断ち切れず、無駄な残業が多くの職場で一般的に発生しているに違いない。吉田茂総理大臣とその内閣が戦後の世界政治情勢をうまく読んだ結果、国が活気づき、数十年にわたるかつてない成長と繁栄も引き起こされたということは、私も高く評価したいと思うが、当時に生まれた世代の保守的な考え方が現在の社会人に苦労をもたらしているではないかとも思われる。日本の技術が世界中に愛され、国民は自分を捨て会社のために一生懸命働くので、効率を落とすのではなく、効率に繋がる職場マナーさえあれば、国と経済はどれだけ強くなるのだろう、と私はよく痛感する。

 

もちろん、現在は世界規模の不況の中、あらゆる会社や金融機関は事業を合理化し、無駄やロスを徹底的に削減するという急務に迫られている。経営環境が厳しくなっても日本なら何とか対応できるというが、今回の危機は日本においても大幅な雇用喪失に繋がっているため、残業の負担を解消する動きがようやく始まっている。この目的に向けて、アプローチや手段が様々あるだろうが、とにかく、17日のガンバ大阪モンテディオ山形のJリーグ戦が1万159人のサッカーファンにとって、残業せずに早めに退社する、非常に良いインセンティブとなった。

 

サッカーと金曜日の関係は複雑なものである。テレビの影響や、UEFAカップの日程が木曜日に集中していることで、世界に広く注目される試合が週に6日行われるが、ブンデスリーガの1試合を除き、金曜日だけは注目カードがほとんどない。イングランドでは最近まで、復活祭の前の聖金曜日(キリストの十字架の死を記念する休日)だけにプレミアリーグなどの試合が特別に1日繰り上げられていたが、この習慣は拡大したUEFAチャンピオンズリーグの影響で失われてしまい、現在は土日なら注目されない、2部以下の試合を1つ、2つぐらい前倒しにする、という程度である。日本においても、17日の試合はもちろん(ガンバが21日にインドネシアでアウェイ戦があったことを受け)例外的であり、入場者数が万博の土日平均に比べて少なかったので、二度とないことにとどまるかもしれない。応援団の太鼓が21時以降禁止されているというのもあり、やはり日本はまだ平日のサッカーに向いていないという声もあるだろう。

 

しかし、私とともに現場にいた皆さんにとっては、記憶に残る経験となった。人数は水曜日の試合とあまり変わらなかったとは言え、「今から週末だ!」という気持ちでテンションが上がり、雰囲気は土日並みに十分盛り上がった。太鼓の禁止は少人数のアウェイファンにとって特に残念なことだった(声援だけに変わった21時直後、ガンバは逆転し勝利を掴んだ)が、わざわざ山形から来てくれたサポーターの情熱も印象に残り、認めるべきである。やはり、サッカーファンとして残業をせず、経済に貢献するのが非常に楽しいことである。本当は、金曜日のサッカーを増やそうと提案したいと思うが、やはり、私はまだ影響力を持つ人が相手にしてくれる年ではないだろう…

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水原市やパライバ州から、J2経由で、マンチェスターやポルトへ

2009/04/14(火)

皮肉にも、今年のUEFAチャンピオンズリーグベスト8で最も面白くないと考えられていた対決は第2戦に向かって、一番接戦になりそうである。FCポルトはオールド・トラフォードの第1戦で引き分けと、貴重なアウェイゴールを2点も掴んだことは、マンチェスター・ユナイテッドが楽勝するという予想に大きく反し、逆に、後者がアーセナルビジャレアルとの準決勝に進出しクインチュープルの夢を持ち続けることが、少し厳しくなっているだろう。

 

しかし、現在ヨーロッパの舞台で輝いている、元Jリーガーの外国人選手が直接対決するということで、この試合は日本の視点から、元から期待されていた。もちろん、キャリアの晩年など、外国人選手が逆方向に来日した例が幾つもあるが、ユナイテッドの朴智星ほど、日本サッカーでの活躍をバネに欧州のトップリーグで世界的なスターになったものはほとんどいないだろう。19歳のとき、母国韓国の明知大學校で見出された朴智星は当時の京都パープルサンガでプロデビューを果たし、2002年に同チームの天皇杯優勝にも貢献した。その後、元韓国代表監督だったフース・ヒディンクのPSVアインドホーフェンヨーロッパの舞台に立つチャンスを得て、やがてユナイテッドに移籍し、プレミアリーグやチャンピオンズリーグなど、トロフィーを次々と獲得している。しかし、この一週間は、朴智星にも負けないほど多くの報道に注目されている、元Jリーガーの新顔が欧州サッカーファンの意識に登場した。

 

アメリカの「超人ハルク」という漫画からをつけられた、「フッキ」(日本語での表記は英語とブラジルポルトガル語を混同したもの)は確かに覚えやすいあだ名であり、何らか良いプレーを見せるたびに、ヨーロッパのアナウンサーや記者は「超人みたい」というような親父ギャグを言わずにいられない。しかし、マスコミ関係者は相手のディフェンスと同じように、フッキの登場に不意打ちを食らっているようである。12日の英国・オブザーバー紙では、エイミー・ローレンスはフッキについて興味深い記事を掲載したが、ニックネームが東京ヴェルディの色に由来するという、イギリスの報道でよくある誤解を助長してしまった。もちろん、このあだ名は来日以前、母親につけられたのであり、このフッキという名前で頑強な体格をした選手がヴェルディに移籍し緑色のユニフォームを着ることになったことは、単なる面白い偶然だった。

 

しかし、フッキのJキャリアも少し複雑なものだった。18歳の若者として、母国ブラジルの2部、ビットーリアから川崎フロンターレに入団し、私がライターを務めていた2005年の天皇杯で2出場2得点という見事な実績を残したが、フロンターレでは3人の外国人枠がすでに埋まっていたため、その翌年から2年、レンタル移籍でJ2で経験を積むことになった。ここで、2006年シーズンはコンサドーレ札幌41出場26得点、2007年シーズンは東京ヴェルディで42出場37得点という実績を記録し、爆発的な存在感を誇示した。それでも、全Jリーグのスターというレベルまでは意識されず(昨年、シックスの関係者との飲み会で、フッキの顔がお店のテレビに出たとき、NHKのあるアナウンサーが「あの選手だれ?」と私に聞いた)、2008年のJ1復帰は騒然とした、短い間だった。2年ぶりに戻った古巣の川崎では、関塚隆監督の戦術に反対し、わずか2試合に出場してから退団することになった。再び上京しヴェルディに戻ったが、昨年のリズムを取り戻し、4ヶ月・11出場で7得点も挙げたにもかかわらず、監督・フロントとの関係が悪化し、Jリーグの審判に対して不信感を抱いていたことを理由に、7月にまたしても移籍することになった。本人は、ヴェルディと日本はまだ愛していると言ったが、移籍の正式決定・発表よりも先に、エスタディオ・ド・ドラゴンに登場しポルトのユニフォームでポーズしたというのは、ヴェルディにとって少し辛いさようならだった。

 

札幌での初フルシーズンで、イエローカードを15枚、レッドカードを3枚も受けたなど、フッキは元から気が短いイメージがあったが、ポルトにはもう少し長居すれば、ポルトガルのサッカーと生活は気分転換となり、彼のメンタル面と技術面の成長に繋がるかもしれない。体は確かに強く、プレーも効果的であるが、たまにはもう少し成熟していればこの武器をよりうまく生かし、チームにより貢献できるとも考えられる。とはいえ、アトレティコ・マドリードのアベル・レシーノ監督やマンチェスター・ユナイテッドのサー・アレックス・ファーガソン監督はフッキのポテンシャルを体験から語り、評価しているなど、ヨーロッパでの期待はすでに高まっている。その突然の離脱はヴェルディのJ2降格の大きな要因とも言え、J1でのキャリアが短期間しか存続しなかったことが非常に残念だったが、将来に朴智星のようなレベルまで成長すれば、フッキの再来日はいつでも大歓迎されるだろう。

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お知らせ: Football Japan MinutecastのURLが変わりました

2009/04/09(木)

Football Japan Minutecastをお聞き頂きまして、ありがとうございます。

 

このたび、システムの関係で、このポッドキャストのURLが変わることになりました。

 

大変申し訳ございませんが、引き続きお聞き頂くために、再びご登録頂く必要があります。

 

お手数ですが、このご案内に従って、iTunesなど、ご利用のポッドキャスト受信ソフトにて再登録をお願い致します。

 

 

iTunesをご利用の方:

http://itunes.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewPodcast?id=311602769

上記のリンクをクリックすると、iTunes Storeにて直接アクセス・ご登録頂けます。

 

その他のポッドキャスト受信ソフトをご利用の方:

このリンクをご利用のソフトにドラッグ&ドロップすることで、ご登録頂けます。(iTunesでもご利用できます。)

 

 

また、テキスト版についても、Minutecast専用のページを公開しました。バックナンバーと、これからの記事はすべてここでアップしますので、是非アクセス下さい。音声版もこのページにてお聞き頂くことができます。(特別デザインも後日、導入する予定です。)

http://minutecast.footballjapan.jp/

 

新しいシステムに変わることにより、Minutecastがより使いやすくなり、品質も向上すると考えていますので、引き続き、どうぞお楽しみ下さい。

 

Football Japan Minutecast No. 6(4月6日)はこちらから

Football Japan Minutecast No. 5(3月30日)はこちらから

Football Japan Minutecast No. 4(3月23日)はこちらから

Football Japan Minutecast No. 3(3月19日)はこちらから

Football Japan Minutecast No. 2(3月16日)はこちらから

Football Japan Minutecast No. 1(3月9日)はこちらから


(すべてのポッドキャストの音質が改善されています。「The Mortals」の「Gone」という曲を使用したイントロ・アウトロも追加し、これからのポッドキャストにも導入する予定です。)

日本語音声での説明はこちら


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Announcement: The Football Japan Minutecast has been relocated

2009/04/09(木)

Thank you to everybody who has already subscribed and listened to the Football Japan Minutecast.

 

Unfortunately, due to system reasons, we have now had to relocate this podcast to a different URL.

 

Please follow the instructions for re-registration below to download this week’s and all future editions of the podcast.

 

 

iTunes users:

http://itunes.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewPodcast?id=311602769

Click on the above link to access and subscribe to the Minutecast directly via the iTunes Store.

 

All podcast-compatible audio software:

Drag and drop this link into your audio software window to subscribe to the Minutecast.

 

 

All previous and future written articles will now be available on a special Minutecast page within the Football Japan website. The related audio podcasts may also be listened to and downloaded here. (This page will be given its own new design in the next few weeks.)

http://minutecast.footballjapan.jp/

 

The new system will help us provide a higher quality service, offering better audio and greater ease of use. We apologise for any inconvenience, and hope that you will continue to enjoy the Football Japan Minutecast.

 

 

Click here for Football Japan Minutecast No. 6 (6 April)

Click here for Football Japan Minutecast No. 5 (30 March)

Click here for Football Japan Minutecast No. 4 (23 March)

Click here for Football Japan Minutecast No. 3 (19 March)

Click here for Football Japan Minutecast No. 2 (16 March)

Click here for Football Japan Minutecast No. 1 (9 March)

 

(All previous podcasts have been edited for better sound quality. Musical intros and outros, featuring ‘Gone’ by The Mortals, have also been added and will be used in all future episodes.)


英語音声での説明はこちら

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Football Japan Minutecast No. 6 – Niigata and Kashima leave it late on day of drama

2009/04/06(月)

Monday 6 April 2009

 

Late drama was the order of the day in an exciting weekend of action in J1, as Albirex Niigata moved clear at the top with a 2-1 victory at home to Yokohama F Marinos. The visitors, who are yet to win a single game this season, had looked set to come away with a well-deserved point after Yuzo Kurihara had cancelled out Marcio Richardes’ opener, but their hopes were destroyed when Kisho Yano finished off a 93rd minute breakaway to take Albirex up to ten points from four games.

 

Hot on their heels are the reigning champions, Kashima Antlers, who were given a real scare on Saturday at home to Kyoto Sanga. Despite remaining under the cosh for most of the match, Diego’s well-taken opener had put the away side on course for an unlikely victory, until the game turned with ten minutes to play following a second yellow card for Yuto Sato. Seizing the momentum, Kashima first equalised through Ryuta Sasaki, before Shinzo Koroki completed the recovery with a scrambled winner in the final minute.

 

Omiya Ardija thought they had stolen the points away to 10-man Kashiwa Reysol with a Tomoya Uchida strike on 89 minutes, before an even later reply from Masahiro Koga ensured that both teams would retain their unbeaten records. FC Tokyo added to the misery of bottom club Jubilo Iwata with a Shingo Akamine winner eight minutes from time, while Masaru Akiba netted with just four minutes left against JEF United Chiba to continue Montedio Yamagata’s excellent start to the campaign.

 

Kawasaki Frontale picked up three points for the first time this season in Saturday’s highest profile encounter, as they quickly recovered from Magnum’s opener to record a convincing 3-1 win over fellow ACL contenders Nagoya Grampus. Gamba Osaka were held 2-2 at home by Sanfrecce Hiroshima despite a stunning opener from Cho Jae-Jin, Urawa Reds ended a week of boardroom unrest with a 1-0 victory over Oita Trinita, while Shimizu S-Pulse won by the same score away to Vissel Kobe.

 

 

J1 results (matchday 4)

Gamba Osaka 2-2 Sanfrecce Hiroshima

Kashima Antlers 2-1 Kyoto Sanga

Kawasaki Frontale 3-1 Nagoya Grampus

Urawa Reds 1-0 Oita Trinita

Albirex Niigata 2-1 Yokohama F Marinos

Kashiwa Reysol 2-2 Omiya Ardija

Jubilo Iwata 0-1 FC Tokyo

Montedio Yamagata 1-0 JEF United Chiba

Vissel Kobe 0-1 Shimizu S-Pulse

ポッドキャストはこちら

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Football Japan Minutecast: いよいよ公開しました

2009/04/02(木)

先日、ここで紹介したFootball Japan Minutecast(フットボール・ジャパン・ミニットキャスト)」が、ついに公開されました。

 

この新しいサービスは、Jリーグと岡田ジャパンをはじめ、日本サッカーにおける最新ニュースを英語でまとめ、コンパクトで便利なテキスト版・音声版の両バージョンで提供していきます。Minutecastにより、外国人に日本のサッカーニュースを配信するとともに、日本人のサッカーファンにも、英語力に繋がる資料をお届けしたいと思っています。

 

テキスト版はこのページで公開し、音声版も合わせて毎週の月曜日(週1回)に更新しますが、近未来に回数を増やし、記事を無料で購読できるメルマガにも発展していく予定ですので、是非お楽しみ下さい。

 

音声版のポッドキャストは既に公開していますので、下記の指示に従って、是非ご登録下さい。

 

 

iTunesをご利用の方:

http://itunes.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewPodcast?id=311602769

上記のリンクをクリックすると、iTunes Storeにて直接アクセス・ご登録頂けます。

 

その他のポッドキャスト受信ソフトをご利用の方:

このリンクをご利用のソフトにドラッグ&ドロップすることで、ご登録頂けます。(iTunesでもご利用できます。)

 

 

できるだけ多くの方にご登録頂きたく、いち早くシステムや音質を改善するように取り組んでいますが、私たちの新しいサービス、Football Japan Minutecastをどうぞご期待下さい。

 

Football Japan Minutecast No. 6(4月6日)はこちらから

Football Japan Minutecast No. 5(3月30日)はこちらから

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