アジアとヨーロッパのサッカーを両方とも見るなら、シーズンのタイミングがずれて楽しめることが春夏秋冬にある一方、開幕に向けてドキドキする気持ちが少し薄まってくるという裏面もある。なぜなら、Jリーグの新シーズンがスタートする頃は、心はすでに欧州の優勝争いやチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに奪われている最中だからである。しかし、私は今年、例年とは違い、ヨーロッパのサッカーを見ながら日本の移籍市場にも熱中したり、パンパシフィックチャンピオンシップのテレビ中継も見たり、生観戦の寂しい空白を埋めるためにラグビー試合にも行ったりするようになっている。2009年のJリーグ開幕は待ち遠しくてたまらない。
これは、この仕事の影響でもあるかもしれないが、最も大きな原因はきっと昨年の、「アンコール!」と叫びたくなるぐらい劇的なクライマックスだろうと思う。自分が好きなガンバ大阪のACL・天皇杯の2冠と、CWCの3位とマンチェスターユナイテッド戦は1回限りの喜びとして片づけても、Jリーグ自体も例年よりも大混戦になり、テンションが最終節に向かってますます上がっていた。鹿島アントラーズが結局2連覇を果たしたが、第32節まで6チームもまだ現実的な見込みがあり、名古屋グランパスと川崎フロンターレは最後の試合まで諦めなかった。残留争いもさらに激しく、最終節に向けて13位の大宮アルディージャまで降格する恐れが残っていた。最終的にコンサドーレ札幌と東京ヴェルディがJ2に戻ることになったが、JEFユナイテッド千葉はシーズンの最後の16分で、FC東京に大逆転し4対2で勝利を収め、間一髪で降格を免れた。
ミラー監督の影響で、第17節まで勝点10しか取れなかったJEFは、残りの17試合では勝点を28も挙げ、1年中同じペースで勝点を重ねれば4位で終了したので、この好調が続くと今シーズンは順位を上げ、残留争いに巻き込まれないだろう。しかし、16位で終了した、名門のジュビロ磐田は昨年、ベガルタ仙台との入れ替え戦で辛うじて残留を決めたが、ジュビロをよく知る柳下正明が新監督に任命されたにも関わらず、今年も決して落ちるには強過ぎるとは言い切れない。田中誠の後継として那須大亮がヴェルディから入団したが、それ以外のニューフェースがあまりいなく、得点は怪我がちの前田遼一に頼ってしまう傾向がまた続きそうである。J2から優勝へと独走したサンフレッチェ広島と2位で昇格したモンテディオ山形は少なくとも、昨年の札幌とヴェルディよりJ1でも挑戦できそうなので、2009年は昨年よりも失敗の余地のない残留争いとなるだろう。
このような中、大宮やアルビレックス新潟、京都サンガなども前進しなければ必ず後退し、残留が危うくなる恐れもあるが、もう1つの名門の横浜Fマリノスは現在、岐路に立っているといって過言ではない。2003~2004年の2連覇を達成して以来、9位・9位・7位・9位というリーグ成績はマリノスのような歴史を誇るチームにとって受け入れ難いが、それにも関わらず、今年はジュビロと同様に移籍がほとんどなく、現有戦力と若手に将来を賭けるようである。期限付き移籍していたアビスパ福岡から復帰するフォワード、ハーフナー・マイクは昨年、J2の舞台で7ゴールを挙げたが、個人とチームの成長は彼がまだ1点も取れていないJ1でも成績を出せるかどうかにかかっているかもしれない。
(次回に続く)
固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)