サンタとサッカー
クリスマスと言えば、やはりローストターキーとスタッフィング(挽き肉などの詰め物)。これはイギリス人にとって、食べていない人は世の中にきっといないと思ってしまうほど、揺るぎないイメージであるが、実際にはキリスト教の影響をあまり受けていない日本はもちろんのこと、欧米の国もそれぞれである。
時差ボケをお酒で解消するためにも、週末に在日外国人の友達と新年会をしたが、ノルウェイの伝統料理はターキーではなく羊の肉のようで、オランダでは12月6日の「シンタクラース」(聖ニコラウス祭)がメインでクリスマスは特に決まりがないようである。アメリカでさえ、ある友達によると多くの人はターキーを食べるが、自身はヒスパニック系のため、家族とメキシコ料理を食べたそうである。やはり、小さい頃からの慣れはその人なりの当たり前となるだろう。
イギリスでは、クリスマスのお祝いは26日の「ボクシングデー」まで続き、家族や親戚とターキーの残り物を食べる習慣があるが、サッカーカレンダーの中でも大切な1日である。ヨーロッパのほとんどのサッカーリーグは冬休みを取るが、イングランドではボクシングデーにも28日にも試合があり、むしろ最も忙しい時期となる。
クリスマスをゆっくり過ごせなくなる選手などには大変かもしれないが、今では考えられないことに、1957年までは25日にもリーグ戦があった。移動などの関係で、ホーム&アウェイのダービー戦が基本だったので、クリスマスデーに敗戦したチームにとって、翌日のボクシングデーは同じ相手にリベンジするチャンスとなっていたわけである。
クリスマスのダービー戦がなくなったにも関わらず、この季節は試合に行く文化が特に根強く、シーズンの最多観客動員を記録する場合も多いため、冬休みの支持者が多くいながらもなかなか導入しにくい。ボクシングデーの当日には、私は家族とのご飯から抜け出しテレビでスコアを確認したりしていたが、アマチュアリーグの試合はその翌日の土曜日に行われたので、真の草の根サッカーを久し振りに味わうことができた。
トーントン・タウン(紫)対ポールトン・ローヴァーズ、2008年12月27日
田舎町の地元のチーム、トーントン・タウンは現在、サウザンフットボールリーグのディヴィジョン1・サウス&ウェスト(実質8部・南西部)で残留争いに巻き込まれており、キックオフ時間の15時に夕日が既に沈みかけ、氷点下の気温の中で霜も降りていた。確かに、寒々と聞こえるかもしれないが、淡い投光照明の下で温かいボブリル(牛肉エキスのスープ)を飲みながら、229人のサポーター(これもシーズン最多)で楽しく盛り上がった。
年が明け、元日の天皇杯決勝戦を以て日本のシーズンが終了するが、1月の第1週末にイングランドのFAカップ3回戦が行われ、シーズンの最も「ロマンチック」なときと考えられている。なぜなら、天皇杯のようなシード制がなく、アマチュアなど下位のチームがプレミアのビッグクラブにぶつかる可能性があり、ショックな結果もしばしばある。今年、カンファレンス・ナショナル(実質5部)のバローAFCは2対1でプレミアのミドルスブラに惜敗したが、リーグ1(3部)のハートリプール・ユナイテッドがストーク・シティを倒し、同リーグのサウスエンド・ユナイテッドもスタンフォード・ブリッジで引き分けという素晴らしい結果を収め、14日に豪華なチェルシーとホームで再試合をするチャンスを獲得した。
トーントン・タウンは残念ながら、私が生まれる1年前の1981/82シーズン以来、FAカップの予選を1回も突破していないが、マンチェスター・ユナイテッドの試合を弟とパブで観戦することで、帰国の最後の日にもイギリスのサッカー文化を味わえた。やはり、昔の慣れは楽しい。
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受信: 2009年1月14日 (水) 16時27分
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