いよいよクラブワールドカップに向けて
鹿島アントラーズは6日、無事にコンサドーレ札幌を倒し、Jリーグでめでたい2連覇を達成したが、オリベイラ監督や選手たちの大喜びの中、少々悔しい面もあっただろう。FIFAクラブワールドカップは2007年大会から開催国枠も設置しているが、日本勢で初めて同年のACLを制覇した浦和レッズに続き、今年もガンバ大阪がアジアチャンピオンに輝いたため、この世界の舞台に立つチャンスは2年連続で鹿島から奪われ、代わりにACLの準優勝クラブ(今年はアデレード・ユナイテッド)に与えられた。
同一国から最大1チームしか出場できないというルールは、基本的には理解できるが、同一地域から2チーム以上はベスト4まで進出できないという条件も適用されると、少し奇妙な結果に繋がる。つまり、このACL準優勝者がオセアニアのクラブとのプレーオフを勝ち抜けば、ベスト8の相手は必ず同じアジアの王者になる。アデレードはまず11日の開幕戦で、アマチュアということでレベルが遥かに違うと自ら認めるニュージーランドのワイタケレ・ユナイテッドに勝たなければならないが、昨年の浦和対セパハンのように、準々決勝はガンバとのACL決勝戦の再試合になりそうである。これより、世界の舞台での、ガンバ対鹿島という日本同士の対決のほうがサポーターにアピールするだろう。
あるドイツの記者の有名な言葉で、FIFAのゼップ・ブラッター会長は「毎日50の新しいアイデアを思いつき、そのうちばかげているものが51ある」とされているが、ガンバはとにかく、文句を言わないだろう。たった1ヶ月前にホーム&アウェイとも圧倒した相手をもう1回破らなければ終わりというのは少しアンフェアとも思われるが、日本一の鹿島より、アデレードに勝ち抜く可能性のほうが高い。もう1つの準々決勝は土曜日のお昼キックオフというのに対し、この試合は何故か日曜日の夜で、大阪への新幹線もなくなるため、多くのサポーターは夜通し、車やバスで帰らざるを得ないことになる。しかし、ガンバにとってはもちろんタイトルよりも、マンチェスター・ユナイテッドとの準決勝が目標であるので、ACLの勢いを維持してこの夢の試合を実現すれば、月曜日の仕事はどんなに大変でもしっかり乗り越えられるだろう。
ヨーロッパにおいて、クラブワールドカップに対する関心はほかの地域ほど高くないというのは事実であり、マンチェスター・ユナイテッドは横浜に行く前、13日の夕方(日本時間では14日の早朝)にトッテナム・ホットスパーとアウェイ戦もある。にも関わらず、ファーガソン監督は世界タイトルだけを目指し、フルメンバーで来日するので、ユナイテッドが間違いなく優勝候補の本命だろう。一方、エクアドルのLDUキトは少し意外な南米チャンピオンと言える。大方の予想では、ブラジルの名門であるフルミネンセがコパ・リベルタドーレス決勝戦で勝利し、(先週、ガンバから移籍オファーが届いたとされている)元浦和レッズのワシントンが再び日本のピッチに出ると考えられていた。しかし、LDUキトはPK戦で優勝を決め、エクアドルのクラブで初めての南米タイトルを制した。
左サイドのルイス・ボラニョス(23歳)を中心に、LDUキトの攻撃は軽視してはいけないが、逆サイドのホフレ・ゲロンはスペインのヘタフェへ移籍したというのもあり、モチベーションがいくら高くても、マンチェスター・ユナイテッドに勝つにはさらにレベルアップが必要だろう。今年の準決勝でも、メキシコのパチューカ、または全アフリカの名門とも言えるアル・アハリ(エジプト)というハードルも非常に高く、欧州・南米以外の代表が決勝に上がる可能性も確かにある。
この大会は60年代の暴動頻発や70年代の出場辞退など、インターコンチネンタルカップの時代から現在のクラブワールドカップとしてのフォーマットに至るまで、様々な問題に直面してきた。しかし、生き残るようにFIFA側が積極的に推進している中、欧州・南米だけではなく、全体的な競争力が高まれば高まるほど、将来性もある。今年はガンバ大阪、マンチェスター・ユナイテッドやLDUキトなどから攻撃的なプレーも期待できるので、今までにないレベルのクラブワールドカップを世界のサッカーファンに見せて欲しい。
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