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アジア制覇から世界挑戦へ

2008/11/17(月)

決勝戦というのは、一般的に緊張感たっぷりのことだろうが、ガンバ大阪にとって、ACL決勝第2戦のテンションは全て15分までに解消された。万博でオーストラリアのアデレード・ユナイテッドを3対0で破った第1戦に続き、1週間後のアウェイ戦でも相手を圧倒し、ルーカスの2点目で合計スコアが5対0になると、どんなに悲観的なサポーターでもシャンパンを抜くことができた。現地のハインドマーシュ・スタジアムから万博のパブリックビューイングや大阪のスポーツバーまで、ガンバのファンは半分大喜び、半分信じられない気持ちに駆られた。国内ではいろいろと苦戦しながらも、アジアの頂点に登り詰めた。

 

西野監督も、昨年の浦和レッズの優勝を見て欲望が燃えていただろうが、試合後は「今年のACLを挑むにあたり、予選突破を目標に、正直ファイナルまでは考えていませんでした」と認めた。しかし、ガンバはACLで終始、タイトルに値するプレーを見せた。メルボルン・ビクトリーと全南ドラゴンズと同じグループでは、ロスタイムの同点ゴールでタイのチョンブリーと何とか引き分けしたというのは理想的な初戦ではなかったが、その後は4連勝で12得点も挙げ、1試合を残して決勝トーナメント進出を決めた。秋に入るとさらに一層レベルアップし、ベスト8とベスト4でそれぞれ、2006年の準優勝者のアル・カラマとディフェンディングチャンピオンの浦和に意気揚々と勝利を収めた。この姿勢は決勝戦にも繋がり、浦和のより守備的な勝ち方を「自分の目指すものとは、まったく逆」というように考えていた西野は、「ガンバのスタイルを貫き通した中でタイトルを獲れたということを非常に嬉しく思います」と述べた。

 

僅か3694人の入場のもと、J2のヴァンフォーレ甲府を延長戦で破った天皇杯4回戦は凱旋試合として少し控え目なものだったが、リーグで3位以内は厳しい中、現在のところでは天皇杯で優勝しなくては来年のACL出場現は手に入らない。しかし、2009年以降のフォーマットは1125日、第9回AFCプロリーグ特別委員会で最終決定される予定であり、前回優勝チームの出場枠が戻される可能性がある。皮肉にも、アデレード・ユナイテッドは決勝戦の前にこの復活をAFCに訴えたし、ガンバが今年出場できたのはそもそも浦和の優勝のおかげだったが、アジアの王者として、ガンバがタイトルを防衛する機会を与えられなければ、非常に残念である。2005年のヨーロッパ王者、リバプールはリーグ順位で翌年のチャンピオンズリーグ出場権を獲得していなかったが、UEFAは当時の規則を変更し、特別な出場権を与えた。ガンバのアジアでの注目度が高くなりつつ、来年のACL決勝戦は東京の国立競技場での一発勝負というのもあり、川淵三郎委員長たちも欧州の前例に従いたくなるかもしれない。

 

もちろん、ガンバの選手やスタッフはこういうことにとらわれず、西野監督も認めるように、「今、何となく(クラブワールドカップで)マンチェスターユナイテッドと試合をすることにターゲットが行っているように感じます」。この夢のような準決勝が現実になる前に、まずは準々決勝を突破する必要があり、これは恐らくアデレードとの再戦になることが少し不思議に思われる。しかし、ガンバには再び勝ち進む自信があり、クラブワールドカップで1勝をすることも「大きな目標設定」にしている。ガンバのような前向きなチームがアジアを代表し、世界の舞台で戦うことは、日本のサッカーにとっても意義深いことである。

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