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あと半歩

2008/11/11(火)

予想もできなかった、完全な楽勝だった。5日のACL決勝第1戦では、相手に貴重なアウェイゴールを与えず、3点も挙げたガンバ大阪は悲願のアジア制覇へ大きな一歩を踏み出したが、この結果は試合の流れを反映していないという悔しさもあったとしても、これはアデレード・ユナイテッドではなく、むしろガンバが感じたことだろう。1、2点目とも確かに相手のパスミスから生まれたとはいえ、シュート数でも17対3と大差があり、スコアが少なくとも5対0になってもおかしくない試合だった。後半のロスタイムに入り、追加点が2点が欲しいと冗談で言ったが、これも一瞬叶いそうだった。まずは遠藤保仁のフリーキックが入り(ロニーのオフサイドでノーゴールと判定されたことには、ゴール裏の大興奮で気づかなかった)、またその直後、山崎雅人も決定的なチャンスを逃した。

 

オーストラリアのFox Sportsの解説者によると、ガンバの運営予算は約4700万アメリカ・ドル(約46億円)に上るのに対して、アデレードはその10分の1、約700万オーストラリア・ドル(約4.6億円)に過ぎない。オーストラリアのサッカーはこの資金力の格差を乗り越え、アジアの舞台ですでに成果を上げているということは、将来性の証しであり、Jリーグがアジアのトップという地位を強固にしても、オーストラリアは間違いなく、最も有望な挑戦者だろう。しかし、この試合はアデレードにとって反省すべき、内容に欠け過ぎたパフォーマンスだった。長い旅の影響もきっとあり、こういう面では欧州と違い、第1戦をホームでプレーしたほうが有利かもしれないが、アウレリオ・ヴィドマー監督さえチームの失敗について説明{とんじ}に窮していた。「大事な試合ということで緊張もあったかもしれないが、とにかくアデレードらしくない内容だった」と述べた。

 

一方、様々な困難の中、ガンバをアジア制覇の寸前まで導いてきた、西野監督の成功は認めるべきである。8日、FC東京に負けたリーグ戦はACLの影響で許されるが、シーズン前から怪我や病気、退団による問題に苦しんできて、今年は悔しい結果が多い。2005年には比較的に低い、勝点60で優勝したが、2006年と2007年には強い相手に上回られ3位に転落したにも関わらず、実際の成績は徐々に向上し、勝点はそれぞれ、6667へと上がった。これに対して、今年はやはりリズムを掴むのに時間がかかり、現在は7位であるが、残りの3試合をすべて勝っても、例年を大きく下回る勝ち点56で終了する。2008年のガンバは決して、ビンテージものではない。

 

しかし、ACLの挑戦に備えて全力を尽くし、特に決勝トーナメントに入ってから試合毎に調子をますます上げてきた。バレーの離脱から生まれた得点力不足がリーグ戦では最も著しい問題とされたが、ACLではルーカスと山崎のパフォーマンスで十分カバーでき、山崎は特にアジアの舞台に適しているようである。今年のリーグ戦では29試合で4得点、横浜Fマリノスと大分トリニータ時代も含め通算105試合で僅か7得点しか挙げていないが、ACLの得点ランキングでは5ゴールで2位である。西野監督はマンチェスター・ユナイテッドのファーガソン監督のように、自分の判断力に強い信念があり、選手と仲たがいすることもあるが、こういった監督にとって、結果だけがものをいう。アジアの中では日本のクラブが豊かな資源に恵まれているというのもあるが、西野は地域の頂点に向けて選手を整え、浦和レッズや鹿島アントラーズさえ出せなかった結果を残している。

 

もちろん、優勝はまだ何も決まっていなく、12日の第2戦では、アデレードのプレーは先週とは似ても似つかないだろう。先月、準決勝のホーム戦ではブニョドコルを3対0で破り、得点力をはっきりと示したので、試合がアデレードのペースで展開すると危険もあるかもしれない。しかし、17歳のキーパー、マーク・ビリギッティ(レギュラーのユージン・ガレコヴィッチは第1戦のイエローで出場停止)からアウェイゴールを1点でも奪えればきっと終わりなので、第2戦にもガンバらしい姿勢で臨んでほしい。ACLタイトル、クラブワールドカップの出場権、また私の個人的なジレンマが近づいてきている。

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コメント

おめでとう!完勝でしたね。他チームのファンですが昨日は応援していました!
ガンバのあのパスサッカーは完成度が高くて魅力的です。日本サッカーの目指すべきひとつの方向性でしょうね。マンUと対戦したらどこまで出来るか楽しみです。

投稿: 千葉県民 | 2008年11月14日 (金) 02時40分

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