ガンバ vs. 浦和 – 複雑な心境
8日のACL準決勝の第1戦を終始熱く戦ったガンバ大阪と浦和レッズの両チームにとっては、ワールドカップ予選のためのリーグ中断はタイミングの良い気分転換となっただろうが、落ち着いて振り返ってみると、浦和のほうが有利な立場で第2戦を迎えることは確かである。特に後半に入ってから、調子を取り戻したガンバに支配され、81分まで何とか守れた1点リードを遠藤保仁のPKで失ったことは辛かっただろうし、累積2枚目の警告で3人も出場停止となることもエンゲルス監督にとって厄介な問題かもしれない。しかし、チャンスを作るも相変わらず決め切れなかったガンバは今回はPKに助けられたが、埼玉スタジアムで22日に行われる第2戦に向けて、この試合の勢いを最大限に活かし、勝ちたかったに間違いない。
もちろん、試合終了の合図の時点では、このように感じなかった。前半は両チームとも、決してアジアに見せて欲しい内容ではなく、22分に失点したガンバの視点から見ると特に憂鬱になりやすい状態だったが、後半はバレーの離脱以来、初めてガンバらしい攻撃の流れに変わった。明神智和のシュートが阿部勇樹の頭経由でクロスバーに当たるなど、同点ゴールがきっと来るという雰囲気が続き、ようやく同点に追いつくと、チームもサポーターとともに一斉に盛り上がっていた。選手の負傷にも対応しながらリズムを上げたことは西野監督の成功だったが、本業の守備として全く役に立っていないミネイロがフォワード陣のピンチになると、人材不足が明らかである。より自信を持ってシュートを打てる選手さえいれば、昨年のスーパーカップ・ナビスコカップ(4-0、5-2)のようなスコアもあり得る後半だった。
しかし、この試合のパフォーマンスでガンバが弾みをつけたことは言うまでもなく、18日のJ1第29節に向けて、両監督のアプローチが興味深いところである。シーズン閉幕まで後6試合の段階で、ガンバは現在7位で首位との勝点差が6であるので、優勝は非常に厳しいがまだまだ諦めたくないという、少し中途半端な状況にある。しかも、残留が危うくなっているジュビロ磐田との試合では、西野監督は浦和との第2戦に向けて勢いをさらに増そうとするか選手を休ませるか、また、安田理大など怪我から復帰しようとしている選手をどう活用するかといった、様々な選択に迫られる。
浦和のエンゲルス監督も同様、出場停止の穴を埋めるためにキーパーの山岸範宏などをヴィッセル神戸戦から使うかどうかという判断に直面する。ところが、J1の混戦模様が続いている中、第一優先はまず4試合振りとなる勝利を掴み、鹿島アントラーズと名古屋グランパスとの勝点差(現在3)を縮めることだろう。ACL優勝であれリーグ3位以内であれ、来年のACL出場権の獲得が最低限というのもあり、2008年のクライマックスに入ると、両チームにとって得るもの、失うもの、そしてバランスをとるところがたくさんある。
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