歴史に残る、アジア舞台でのナショナルダービー
第1戦が8日に万博で行われる、ガンバ大阪対浦和レッズのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝は、簡単に言えば、日本クラブサッカー史上最も大きな試合である。ACLの前身、アジアクラブ選手権の2000年グループリーグでは、ジュビロ磐田は鹿島アントラーズを1対0で破った。しかし、今回はACL創設以来、初めてのJリーグ同士の対決となり、勝者は悲願のアジア制覇とFIFAクラブワールドカップ出場への挑戦権を獲得する。ACLは来年から拡大し、日本から4チームが参加することになるため、直接対決の機会が増え、さらなる成功も迎えるかもしれないが、今年はとにかく、Jリーグがアジアのトップリーグという立場を強調するチャンスである。
しかも、猛烈なライバル意識を燃やす、ガンバ大阪対浦和レッズが戦う「ナショナルダービー」ということで、普段よりも脚光を浴びるだろう。5月のリーグ戦ではピッチ・スタンドともに乱闘騒ぎに発展し、その再発は決して許されないが、この両チームには見事な激戦を見せる技術がある。2004年のJリーグファーストステージの最終節では、ガンバが浦和の2点リードを逆転し、3対2で勝利を収めたが、両者が未来の優勝候補というポテンシャルを示した。同年のセカンドステージをはじめ、今年までは鹿島と並び3強の2角として、毎年の優勝争いを最後まで戦ってきた。
浦和は昨年、アジア王者の座に輝き、万博開催のときでもスタジアムの半分近くが赤の海で埋め尽くされることからも分かるように、レッズはあらゆる面でガンバ大阪より真のビッグクラブということが確かである。しかし、ガンバも今年の開幕から初アジア制覇を目指しているので、Jリーグ王座の奪還が厳しくなった中、ACLの夢は簡単には諦めないだろう。4日、首位の鹿島との試合では、得点力不足の問題はまた明らかで勝ち切れなかったが、堅実な守備陣とプレーの内容は励みとなったはずである。それに対して、浦和は5日、16位だったジェフユナイテッド千葉に2対3で敗戦し、現在3試合勝利がないので、いざというときに少し暗雲が立ち込めてきたようである。
この準決勝はACLの歴史にとっても、最も大事な対戦の1つである。全北現代モータースはチャンピオンとなった2006年、韓国チーム同士の準決勝で蔚山現代ホランイを破ったが、その以前はアジアクラブ選手権の時代まで遡らないと同国対決の例がない。また、2006年のACLに加え、韓国勢はアジアクラブ選手権でも、1996~2002年という最後の7大会で5回も優勝を果たし、サウジアラビア勢とともに近年のアジアクラブサッカーをほぼ独占してきた。2006年の全北現代と蔚山現代もそれぞれ、ガンバ大阪と東京ヴェルディを破り日本勢をグループリーグで敗退させたこともある。しかし、浦和は昨年の優勝への道のりで、Kリーグの城南一和天馬を準決勝のPK戦で下したので、今回浦和とガンバの勝ったほうには、日本がアジアのサッカーを支配する時代を迎え入れる機会が与えられる。
資金が豊富な中近東勢やウズベキスタン勢(特に、元ブラジル代表のリバウドとジーコ監督を引き入れたFCブニョドコル)という脅威もこれから迫り来るだろうが、ガンバと浦和はこういった期待やテンションの中で、まずは8日の試合に集中しなければならない。6万人の大興奮で昨年の優勝を祝ったレッズは、ACLのレベルを上げたとアジアサッカー連盟からも絶賛されたが、アジアの注目が日本とこの試合に集まりながら、5月のような事件が一切なく、ハイレベルのプレーだけが見出しになることが何よりも大事なことである。両チームにとって、今こそがトップリーグの代表として実力を発揮する場である。
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