まだまだ激化する上下の争い
1シーズン制というのは、競争が最も純粋で適正なフォーマットであるからこそ、Jリーグが2005年からこの制度に移行したときは大賛成だったが、南米式の2ステージ制がなくなることに対して、少し寂しい思いもあった。私が初めて日本で見た2003年シーズンには、セカンドステージのチャンピオンが決まったのは最終節のドラマチックなロスタイムに入ってからだったし、その翌年も、ガンバ大阪は調子が一時期上がったことで久し振りに優勝候補になった。短いステージから脱皮すると、2003年のような大混戦も珍しくなり、好調がなかなか続かないガンバのタイトルチャンスもなくなるとも思われた。
しかし、その思いはこの上なく間違っていた。2005年の優勝は結局5つどもえの争いとなり、しかも最終節の土壇場でガンバに決まった。浦和レッズは2006年の最終節、ガンバとの直接対決で初優勝を掴んだが、昨年は最下位の横浜FCにまさかの敗北を喫し、栄冠を鹿島アントラーズに奪い取られた。今年も何と、テンションが例年よりも上がっているところである。
現在の順位表を見ると、7位のガンバ大阪と8位の清水エスパルスの間には、勝ち点6の差が開いてきたが、ここには優勝争いと残留争いの境界線が引かれている。降格がほぼ決定的である最下位のコンサドーレ札幌を除けば、すべてのチームがこの上下の争いのどちらか、1つに巻き込まれている。すでに第28節まで来たところ、つい最近まで優勝候補とも言えた清水と現在9位の京都サンガすら、秋の連敗に沈むと残留が危うくなることもある。上位7チームには勝ち点6の差しかなく、8位~自動降格圏の17位の差もわずか勝ち点8しかない状態では、あらゆるチームにとって一つ一つの勝ち点が大切であり、順位表を左右しない試合がほとんどない。
3日のエル・ゴラッソの第1面では、16位で入替戦圏内のジェフユナイテッド千葉(勝ち点30)対4位の浦和レッズ(勝ち点47)の試合がトップ記事とされているが、それ以外にも、土曜日15時キックオフで、参加両チームの優勝チャンスに大きな影響を与える試合が2つ行われる。現在5位の川崎フロンターレ(勝ち点45)と3位の大分トリニータ(勝ち点47)はいずれも初タイトルを狙っているが、等々力での試合の勝ったほうは最後まで生き残る自信を得る一方、負けたほうは致命的な打撃を受けるかもしれない。また、万博で首位の鹿島(勝ち点49)と対戦するガンバ大阪(勝ち点43)も、現在の5連勝を伸ばさなくては、優勝の夢は絶対に叶わないだろう。
ガンバはバレーの離脱以来、10試合続けて勝ち星なしという低迷から、成績面ではようやく抜け出してきたが、プレーの内容から見ると、鹿島を破るにはまだまだ大幅なレベルアップが切実に求められている。水曜日の柏レイソル戦では、2点リードで相手が1人少ない状態で後半を迎えたにもかかわらず、ガンバらしい攻撃的なサッカーどころか、かなり守備的な姿勢を見せ、勝利は守れたが、勢いをつけるチャンスを逃してしまった。ガンバのリーグシーズンは、ディフェンディングチャンピオンから勝ち点3と勢いを奪えるかどうかにかかっている。
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