本番を迎えるナビスコカップ
3日と7日に準決勝を迎える、ヤマザキナビスコカップのテンションはようやく上がってきている。グループリーグだけでも4ケ月もかかった2004年と比べればまだましかもしれないが、準々決勝の第1戦から第2戦まで5週間も間があき、第1戦の結果が思い出しにくくなるなど、この大会の断続的な日程は依然として問題である。国内大会の優先順位で、ヤマザキナビスコカップはリーグと天皇杯についで間違いなく3番目であるが、イングランドのカーリング・カップのように、何となく準決勝まで進むと決勝戦と優勝も目指して良い、という感じもする。
しかし、鹿島アントラーズと浦和レッズがすでに敗退した結果、ベスト4のうち3チームが久々のトロフィーを狙っており、近年のいわゆる3強で残っているのは低迷中のガンバ大阪である。リーグではトップ5との勝点差が広がっており、ACLでは得点力やフォワード陣の再編といった課題は特に露呈されやすいので、最大の優勝チャンスはナビスコカップだろう。ガンバはもちろんディフェンディングチャンピオンでもあり、2005年の決勝初進出と去年の優勝に続き、この大会での誇るべき成績を伸ばしたい。
ガンバと対戦する清水エスパルスは、現在リーグ14位で名目上はベスト4のうち最も弱いチームと言えるが、中断前の不調から脱しつつ、残留争いのプレッシャーからの良い気分転換を迎える。リーグ前節、首位の名古屋グランパスとの試合は惜敗したが、それまでの6試合は無敗でゴールも11取ったので、春の得点力不足の苦しみをなかったことにできたようである。Jリーグが発足した頃、清水はカップの成績が良く、1992・93年の連続準優勝を土台に1996年に初優勝を果たしたが、2002年のゼロックス・スーパーカップ以来、タイトルを1つも獲得していない。
もう1つの準決勝はリーグ優勝候補同士の争いであるが、その両チームの立候補はプレシーズンでは予想されなかった。3年前の今週、4ケ月も勝ち星がなかった大分トリニータの監督にペリクレス・シャムスカが任命され、成績をすぐに逆転させ降格からクラブを救ったが、今年も奇跡のようなシーズンを送っている。リーグでは4位まで上がっており、首位との勝点差もわずか1点しかないし、2ヶ月無敗中の大分より調子の良いチームはないとも言える。2002年に昇格した大分は、同年のJ2優勝を除き、トロフィーを1回も獲得したことがないが、今年までベスト8さえ知らなかったサポーターはこれからも未知のものを味わいたいだろう。
しかし、国立競技場への道に立ちはだかるのは、現在リーグ最高位を占める名古屋グランパスである。オリジナル10の1つである名古屋は、2回目のナビスコカップ優勝を果たした1999年以降、成績をなかなか上げられていなかったが、今年からドラガン・ストイコビッチが監督として古巣に戻り、見事な革新を導いてきた。浦和に楽勝したりアルビレックス新潟に負けたり、一試合ごとの内容にばらつきはあるが、8月23日の鹿島戦で示したように、いざというときは強いので、一気に上がったサポーターの期待は悲願のリーグ初優勝にとどまらず、2冠王にも目標を合わせている。
今年のベスト4には、どのチームとどの試合にも見どころがあるので、ここまでのラウンドもサポーターの意識や関心をなかなか盛り上げられなかったことは非常に残念に思う。代表チームの試合と重なる日程は不可避なことかもしれないが、その結果としてナビスコカップの意義に欠けたところが浮き彫りになり、大会の将来性を再考する必要があるだろう。個人的に、グループリーグを廃止しJ2クラブにも再び出場権を与えると、見慣れない対戦や完全なノックアウト制という面で魅力を増せるではないかと思うが、いずれにせよ、話題のある秋に頼り過ぎると、注目を集めることはますます難しくなっていく。
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