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ACL:アジアに触れて

2008/09/26(金)

「日本のチームがACLチャンピオンにならなきゃいけない」。こう語る西野監督はもちろん、自らのチームを優勝に導こうとするが、ガンバ大阪と浦和レッズは10月に行われるAFCチャンピオンズリーグの準決勝で対戦することになっており、昨年に続き、今年の決勝戦にもJリーグから1つの代表が必ず出場権を獲得する。鹿島アントラーズはオーストラリアのアデレード・ユナイテッドに惜敗し、イングランドのように大陸NO.1を決める大会でベスト4のうち3チームを占めるチャンスは逃したが、Jリーグがより高いレベルで戦力均衡へ推移しつつあり、来年から拡大するACLでも更なる成功を期待できるだろう。

 

決勝トーナメントは先週からいよいよ開始したが、ヨーロッパ人にとっては、アジアの巨大さが浮き彫りになってきた。EUの拡大をきっかけに東ヨーロッパとの交流がどんどん進んでいるが、資本主義が根深いUEFAチャンピオンズリーグは一握りの西ヨーロッパのクラブによって独占されており、チェルシーとマンチェスター・ユナイテッドのサポーターがモスクワ開催の決勝戦へ行くのに約600ポンド(12万円)と片道4時間でもかかったことは、かなり例外的である。

 

それに対して、アジアというのは少し恣意的な概念とも言える、実は4つか5つの地域に成る莫大な大陸であり、サッカーの強い国はその中、東西の両極端に分布している。17日、アル・カラマとのACL準々決勝を観戦しにシリアまで行ったガンバ大阪のサポーターには、イギリス~ロシアの3倍近く、2泊3日で30万円という時間と金の投資が必要だった。しかし、UNESCO世界遺産でもある古代都市ダマスカスでは、歴史、宗教や文化が日本と全く違うことを味わえたので、少人数のガンバファンにとってそれだけの価値があっただろう。無事に帰ってきた友達も、「キリスト教の地方もあるからお酒がちゃんと飲めた」と言った時点で優先事項がばれてしまったとはいえ、ほとんど一生に一度の経験を語った。

 

このようなことには、ACLの意義があるのではないか。アジアには世界中に知られているクラブチームがあまりなく、距離と言葉という障壁も確かに高いため、FIFAクラブワールドカップの出場権が目玉になり、ACLそのものが少し軽視されやすいかもしれない。しかし、日本に来てくれた相手のサポーターと交流したり、これまで知らなかったチームとプレーに直面したりするという意味で、ACLを幸運にも様々な国に行ける選手や一部のファンだけではなく、一般のサポーターにとっても人間的且つサッカー的な異文化に触れる場にするべきである。より包括的なテレビ中継も役に立つだろうし、特に同地区同士のグループリーグでは、スタジアムで両チームのサポーターにもアピールする触れ合い活動なども行えば良い。日本のサッカーとサッカー文化を強化するポテンシャルがあるACLに対して、より多面的に注目して欲しい。

 

個人的に、ガンバ大阪の初出場(2006年)からACLにずっとこだわっているが、一番記憶に残っているのは、今年の4月のメルボルン・ビクトリー戦である。試合前、お手洗いの出口に通りがかりの外国人がいて、日本にいる外国人同士ならではの会話をすると、ビクトリーを応援するためにわざわざオーストラリアから来たことが分かった。その友達にも紹介してもらったところ、メルボルンの応援団のうち数十人はサッカーを日本や韓国を旅行するチャンスにしたようだった。試合後にも皆さんと活発なお話をしながら、日本人の子供にメルボルンのグッズを贈り一緒に記念写真を撮ったところを見て、このオーストラリア人の陽気で親切な精神に感動した。「もし決勝トーナメントでガンバ対アデレードの試合があれば、ぜひ来て下さいね。アデレードが嫌いなので、一緒にガンバを応援するから」との招待も頂いたが、お金さえあれば行きたいのに…

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