夏の喜び
変化の風で2010年からすべてが変わりそうであるが、個人的に、現行のカレンダーでは今が一番好きな季節かもしれない。ヨーロッパの2007/08年シーズンの劇的なクライマックスの後にも、徹夜の寝不足を耐えながらユーロも見られたが、それから向こうの夏休みがようやく始まっても、日本のシーズンがちょうど中断から覚めているところだった。私のように、ヨーロッパのサッカーもアジアのサッカーも見るファンには、楽しめることが春夏秋冬にもあるわけである。
残暑はやはり少しいやに思うが、この季節の魅力はどこにあるかというと、プレミアなど欧州のリーグがいよいよ開幕していると同時に、日本のシーズンがどんどん熱くなっているところである。今週末の第22節では、最高位の鹿島アントラーズと3位の名古屋グランパスの対戦はもちろん注目を浴びるが、その翌日にも3連敗中で最下位のコンサドーレ札幌は入れ替え戦圏内の横浜Fマリノスと直接対決し勝点差を縮めようとするので、優勝争いにも残留争いにも見どころが散在している。
以前にも指摘したポイントであるが、今年のJ1順位表の過密は本当に驚異的であり、シーズンの3分の2が過ぎたところまで来ているのに、首位と16位の勝点差が依然としてわずか15点しかない。その中で、上下の争いをまだ両方とも戦っているチームもあり、最終結果の予測が全くつかない状況である。ナビスコカップもACLも最終局面を迎えようとしているので、これからも期待と楽しみが膨らみ続けるだろうが、日本では全てが冷めても、イギリスのクラブはクリスマスの試合に向けて調子を上げようとしているところになるので、周期がまた回る…
しかし、日本サッカー協会の犬飼基昭会長が先月明らかにしたように、協会が現在検討している「秋春シーズン制」が実現されるとこの周期が消えてしまい、個人的には少し寂しいが、この制度はとっくに実行すべきである。アルビレックス新潟など、積雪地帯にあるクラブは冬のサッカーに対して反対を表明しており、それゆえに2006年をめどに移行するという元々の方針がすでに延期されているが、冬季でも利用できる会場や練習の施設が確保されたのであれば、メリットはデメリットを遥かに上回るだろう。
日本のシーズンをヨーロッパに合わせることによって、両方向での移籍活動がよりスムーズになるという利点が、先月の報道でよく挙げられたが、それよりも、イギリスにあるような「夏のスポーツ」と「冬のスポーツ」の間に区別をつけるとベネフィットがたくさんある。イギリスの「夏のスポーツ」というのはクリケットであるが、日本の野球も同様に、数時間かかりながらずっと動いているわけでなく、サポーターがゆっくり見るスポーツで、雨天による中断や中止もあるので、夏が最適な季節である。しかし、比較的涼しいイギリスでも、90分も走るサッカーでは夏は休みであるので、日本の酷暑の中でJリーグの選手がまだ苦労していることは、少し不思議に思う。
サポーターも楽になるだろうが、こういった区別の最も重要なポイントは、サッカーと野球のカレンダーをずれさせることである。もちろん、多少の重なりは避けられないが、特にそれぞれの開幕と優勝争いの時期が一致していなければ、注目やメディア露出を競う必要もなくなる。2005年の秋、ガンバとセレッソ、大阪の2チームとも最終節までJ1優勝に向けて競争していたが、町に出てみると、同じタイミングでセ・リーグで優勝した阪神タイガーズの記念グッズ、のぼりやイベントはどこに行っても盛り上がっていたが、サッカーを意識したものは少しも目にしなかった。夏は暇になってしまうが、このようなことの繰り返しがないように、ガンバの次の優勝はやはり5月に祝いたい。
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