セレッソ大阪のサポーターは恐らく、連勝・連敗の明暗によく慣れているだろう。当初の優勝候補ではなかった2005年のチームは、後半戦で7連勝も含む16試合負けなしを記録し、一気に首位に上がったが、最終節の「長居の悲劇」まで3試合連続の引き分けで結局タイトルのチャンスを逃してしまった。その翌年は反対に、夏の中断前後、7連敗も含む12戦続けて勝ち星のなかったセレッソは突然、残留争いに巻き込まれ、最後の5試合でまた1回も勝てずJ2に落ちることになってしまった。今年の春もまた、7連勝でようやくJ1に戻れそうだったが、それ以来の14試合ではわずか勝点12しか取れておらず、昇格のチャンスが危うくなっている。上位2チームのサンフレッチェ広島とモンテディオ山形が絶好調の中、入替戦対象の3位争いは、J1の残留争いのようにますます激しくなっている。
ガンバ大阪の応援団の一員として、私の周りには反セレッソ感情が多いことはいうまでもない。2005年11月、不調なガンバが一度セレッソに上回られたとき、応援団長などとご飯を食べたが、「優勝を逃せばもちろん悔しいけど、もしあいつらがチャンピオンだったら本当に最悪」というのが全員の意見だった。結局、長居の悲劇はガンバにとって奇跡だったが、その翌年のダービー戦で、ガンバのファンは西澤明訓の涙を記念したTシャツを着て、「セレッソ泣いたろう」と相手をあざけることになった。同年の最終節、ガンバと浦和レッズの優勝決定戦のときでも、「俺達V2
セレッソJ2」という目的を横断幕にしたサポーターは、故郷のライバルを忘れていなかった。
しかし、浦和の優勝シーンを見て苦しみ、セレッソが落ちたというニュースは最初は元気付けだったが、帰りのバスでは、ダービーがなくなるという実感が湧いた。毎年のこの2試合はやはり、それぞれのチームの調子にも関わらず皆が楽しみにするもので、年始にシーズン日程が発表されるとほかにどの試合よりも先に確認する日にちだった。スコアボードの表示でセレッソが負けたことが分かると、今でもライバルに笑うのが相変わらずであるが、最近は足りないものを痛感しながら、この笑みの中に少し悲しげなものもある。
関西地方にはプロサッカークラブが4つあり、セレッソの降格と同じタイミングでヴィッセル神戸がJ1に再昇格したので、ダービー戦が完全になくなったわけではない。とはいえ、このいわゆる「関西ダービー」でも盛り上がるが、やはり同じ大阪同士ではないため、本物ほど熱くならないし、ガンバのファンとして先週の引き分けで最も悔しかったのは、元セレッソの大久保嘉人が同点ゴールを入れたことだった。今年のJ1メンバーでは、「ナショナルダービー」とも呼ばれる浦和レッズ戦の期待やテンションが最も高く、5月の埼玉スタジアムでは残念ながら少し高すぎたが、全国の注目に浴びながらもやはり隣人と戦うのに匹敵しない。
大阪は未だに、誰でもガンバかセレッソのどちらかに夢中というレベルになっておらず、それぞれのクラブ自体にも出来ていないところもあるが、この点にはまたの機会に触れてみる。とにかく、サッカーが大好きな私たちにとっては、セレッソは「REAL OSAKA」の横断幕を掲げたり、ガンバは「俺達が大阪さぁ」を歌ったり、サポーターが町の自慢する権利を競う大阪ダービーである。ガンバのサポーターには、ディビジョンの差の自慢というのもあるが、ダービーがなくてあくまでも距離を感じ、この状態が続けば続くほど残念に思う。敢えて言うが、セレッソの次の「連」が連勝になっても、ガンバ側でも少し喜ぶかもしれない。
固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)